大学付属校の教育姿勢

わが子が進むべきは、難関大学に合格者を多く出す進学校か、有名私立大の付属校か。保護者の意見はさまざまですが、「進学校派」の保護者は、その理由をよくこういうことばで説明します。

「大学受験という目標があるからこそ、中高6年間を学業に専心できる。また、将来やりたいことも定まっていないのに、どの大学に進むのかを中学入学時点で決めるのは早すぎる」

一方、「大学付属校派」からよく耳にするのは、次のようなことです。

「大学受験勉強に膨大な時間をかれることなく、わが子には部活動や課外活動など、中高6年間を存分に謳歌してほしい。また、付属校は『学園色』の強いところが多く、卒業生などのネットワークを将来的に活用することだってできる」

わたしから言わせると、どちらのことばもそれなりの説得力があり、それぞれの内容に同意できます。

つまり、「進学校」「大学付属校」の選択はご家庭の価値観、意向次第ということです。

ただし、最初から「進学校」「大学付属校」と決めつけず、互いを見比べて判断されると良いでしょう。受験候補校の「良いところ」と「そうでないところ」を相対的に見ることにもなりますし、これまで考えていなかった学校に巡り合える可能性もあると思うからです。

では、「大学付属校」の良さとはどういうところにあるのでしょうか。

法政大学第二(神奈川県川崎市/共学校)で入試広報主任を務める望月則男先生は「大学受験を否定しているからこそできる学び」があると言います。

「本校は『付属校らしい付属校』です。極端に言えば、大学受験のための勉強というものを否定する考えで、わたしたちの授業や学校は成り立っています。

わたしは数学を担当していますが、中学段階では図形の模型を作らせるようなことをしますし、事象の説明に終始することなく、具体性を持ったものを生徒たちに伝えていきたいと考えています。それ以外の教科でも体験重視のプログラムを組んでいます。中学から入学してきた子たちはこのような教育の影響を受けているからか、高校入学者よりも理系の割合が高いです」

望月先生はこうも言い添える。

「付属校ですから、生徒たちは勉強だけでなく部活動にも存分に打ち込めるという『両軸』を持つことができます」