「しっかり勉強させる」大学付属校も増えている
大学付属校ならではの強みは、やはり系列大学との連携にあります。法政大学に入る前に時間をかけてアカデミックな内容に触れる場を設けていると言います。
「高校3年生のときには大学の先生にも協力してもらって、大学の学部でどんなことを学ぶのかを伝えてもらいます。生徒たちには授業内容をプレゼンさせたり、論文を書かせたりしています。大学に入る準備をじっくりおこない、スムーズに大学生活へと移行してほしいと考えています」
進学校ではなく付属校だからこそ実践できる教育姿勢を、望月先生は次のようにまとめてくれました。
「進学校だと『受験に必要な教科』にどうしても偏って学習してしまう面があると思います。その点、わたしたちのような付属校は総合的な学びを大切にできます。それこそ、家庭科とか情報の授業などは、かなり本格的です。幅広く学べるのも受験がないからこそではないでしょうか」
大学付属校というと、系列大学への進学が当然となっているため、内部の競争がほとんどなく、のんびりしているところばかりだ、というイメージを抱く人がいるかもしれません。実際、付属校の生徒たちが系列大学へと進学した途端、周囲の学力レベルに打ちのめされるという話は昔からよく噂に聞くことです。
しかし、最近は「しっかり勉強させる」大学付属校も増えています。
たとえば、明治大学明治(東京都調布市/共学校)などはその典型的な学校です。学習量はかなり多く、明治大学への進学を前提にした「先取り教育」も導入しています。実際、在校生たちに話を聞くと、みんな「かなり勉強している」と声を揃えます。
主要な大学付属校の内部進学率はどのようなものになっているのでしょうか。
図表1にまとめましたので、参考にしてください。
ただし、この表だけでは分からないところがあります。系列の大学に「(成績不振で)上がれない」生徒が多いのか、あるいは、「(あえて)上がらない」生徒が多いのか。この点は気になります。
たとえば、学習院(東京都豊島区/男子校)はほぼ全員が系列大学(学習院大)の推薦権を得られるものの、半数近くの卒業生が学習院以外の大学をあえて受験しているのです。
付属校をわが子の志望校として検討されている保護者は、この「内実」について説明会などの場で探ってみることが必要です。