「これ以上、政府のゼロコロナには付き合いきれない」

購入後、コロナが拡大し、なかなか来日することができなかったが、「上海のロックダウンの厳しさを目の当たりにして、背筋が凍った。もうこれ以上、政府のゼロコロナには付き合いきれないと思って、衝動的に出国を決めた」と話す。その人の場合、ビジネスビザを持っていたためそれで出国し、来日後、3年間の労働ビザを取得できた。

マンション購入代金も含め、資金の持ち出し規制が強い中国から、どうやって資金を出したのか、その点について取材すると言葉を濁した。しかし、中国人が顧客の8割を占めるという在日中国人の不動産仲介業者に話を聞いてみると、いくつかの方法があるという。

その一つは香港経由で送金する方法だ。以前、富裕層は香港に口座を持っている人が多く、香港―日本間の送金は問題なかった。最近は難しくなっているが、まだ可能だ。ほかに地下銀行や仮想通貨で持ち込む方法もあるが、中国の銀行から5万元(約100万円)以上引き出す場合、その使途を申告する必要があるため、最近では高額の引き出しはかなり難しくなっているという。

空港の出国審査では搭乗者に“尋問”が

フィリピンやシンガポール、あるいは別の国にも複数の口座がある中国人であれば、そこから日本の銀行に送金したりするケースもあるそうだが、増えているのは、在日中国人の友人に何らかの方法で送金し、その人がキャッシュで日本の不動産会社に支払うという方法だ。その20代の富裕層はまだ日本の銀行口座は開設していないといい、日本での生活費はすべてクレジットカード払いとのことだった。

この富裕層によると、ここ数カ月、中国のゼロコロナ政策に耐えきれず、別の国へ引っ越したり、一時的に海外に出国したりしている中国人は非常に多いという。ただ、自分と同じように日本に出国できた知り合いは1人だけ、とのことだった。

今年6月、上海から来日した別の中国人の友人も「人口2500万人の上海で、ある程度お金を持っている200万人くらいの中国人の中には、ロックダウンが解除されたとたん、一斉に外国へと飛び出した人たちがいました。私の場合、行き先は日本だったけれど、ヨーロッパに行った友人も多い。出国できる人は全員、いったん羽根を伸ばしに出国したといってもいいくらい。移民ではなく、一時的な旅行ですけれどね」と話していた。

そうした人が増えているからか、その知人によると、中国から出国する場合、空港のイミグレーション(出入国審査)の担当者から多数の質問を受けるケースが増えているという。具体的にどのような質問を受けたか詳細は不明だが、「ビジネストリップではなく、本当は移民のための準備で出かけるんじゃないの?」など、ネチネチと質問、というか尋問されるという。

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