人々が地域を好きになるためにJリーグを使ってもらう

——慶應義塾大学の在学中に公認会計士の資格を取り、大手会計監査事務所のアーンスト・アンド・ヤング(EY)を経て、組織開発コンサルティングの「知惠屋」の副社長だった方ですね。

【村井】そしてJリーグフェローの契約を締結、次の年の2018年に理事になってもらいました。ガバナンス含む組織改革に加えてホームタウン活動・社会連携活動の領域をお願いしました。

彼女は「シャレン!」という言葉を生み出し、「クラブも自分たちだけで頑張ろうとしないで社会から色々アドバイスをもらおう」「街の人にオーナーシップを持ってもらうことが大事」「Jリーグに関わりたいと思ってもらうためにはどうしたらよいか」と話し合い、「Jリーグをつかおう」というコンセプトに至りました。

“Jリーグが”社会に貢献するというスタイルから、“地域の人たちが”に主語を転換し、Jリーグを使えるように自らを変えていこうというものです。連携して活動を共にし、地域社会を豊かにし、結果としてクラブが地域になくてはならない存在になる。そこを目指しました。

サッカーは手段の一つでしかない

——アウェーのスタジアムで福島の子供たちのマーチングバンドが演奏を披露する復興支援や、障害者の就労体験の場としてスタジアムを利用する試み、地域の介護予防や防災活動にクラブを活用する、などさまざまな活動を加速させたいということだったのでしょうか。

撮影=奥谷仁

【村井】憲剛選手に「クラブ任せにしないで、Jリーグがしっかりしてください」と言われてから2年かかりましたが、自分の中では彼との約束が果たせたのかな、と思っています。Jリーグ25周年の記念イベントで「シャレン!」コンセプトのお披露目をしたのですが、その場に憲剛選手にも来てもらいました。サッカーは手段の一つで、本当の目的は日本の社会をどうやって豊かにできるか。スポーツで豊かな国にすることができるかです。

まあ、あまり堅苦しく考えることはなくて、簡単なことからできることで自分らしい行動をとってもらえればいいんだと思います。

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