刈込平均値とは、ウエートを加味した品目ごとの上昇率分布で上下10%を機械的に除いた平均値で、極端に価格が変動した品目や一時的に大きく変動した品目を除いている。

そのため、物価動向の基調をみるのに適した経済指標といえる。

また、総務省が発表した9月の消費者物価指数において、生活必需品にあたる基礎的支出項目の伸び率をみると、前年同月比+4.5%と高い伸び率を維持している。

欧米では消費者物価指数が前年同月比で10%近く上昇しているが、それに比べれば、依然として日本のインフレ率は低く抑えられている。

しかし、長きにわたるデフレに慣れてしまった日本の家計にとって、足元の物価上昇は数字以上に大きな打撃となっているだろう。

賃金が上がらず、国民は節約に走る

極論だが、物価が上昇しても、賃金がそれ以上に伸びていれば、家計の観点ではさほど問題にならない。

だが、賃金が伸びなければ、国民はさらに節約して消費を抑えるしかない。そうなれば企業はコストカットをしながらも薄利多売に走り、日本は再びデフレスパイラルに突入しかねない。

厚生労働省が発表した毎月勤労統計調査によれば、8月の季節調整済賃金指数は前年同月比-1.8%と、5カ月連続の下落となった。

残念ながら、賃金上昇率は物価上昇率に追い付いていないのが現状だ。

国民は節約に走り、消費が落ち込んでいるのだろうか。

総務省が発表した8月の家計調査をみてみると、季節調整済実質消費支出は前年同月比+5.1%と、高い伸びを示している。