時間を縮めるのはあくまで「動作」の結果

トヨタには「時間は動作の影である」という言葉があります。

会議の時間を短くすることだけに頭を使うのは本末転倒です。時間を短くすることよりも、中身をカイゼンして、結果として時間が短縮されることが重要なのです。

つまり、会議でも、書類作成でも、時間を縮めるのはあくまで動作の結果だということ。

作業の時間を構成している動きや仕事の中身をカイゼンすれば時間は自然と短縮されていくのです。時間短縮だけを目的にしてカイゼンを始めると、人は無理な仕事をしなければならない。それはやめようよというのがトヨタの考え方です。

例えば会議の時間を短くしようとします。時間よりもまず「何を話すか」「どんな会議なのか」を明確にして、そこからカイゼンを考えていく。そして、前述したように会議の準備や段取りをくふうする。

会議でも事務の仕事でも時間の節約になるのが「外段取り」を取り入れることです。外段取りとは工場での用語なのですが、事技系の職場でも応用できます。

「やる」のと「徹底する」のではぜんぜん違う

外段取りとは製造ラインのなかだけの段取りをカイゼンするのではなく、ラインの外側での準備を整えることを言います。

例えば、プレス工程、鍛造たんぞう工程で型を交換する際、F1レースのタイヤ交換のように、交換部品を用意しておいて素早く取り換える。そうした外段取りをしておけば作業全体の時間は短くなります。

トヨタでは会議や打ち合わせでも外段取りを駆使しています。参加者全員に事前に資料を送って、ちゃんと読んでおいてもらう、意見があるなら用意しておいてもらう。

「そんなことどこの会社でもやっているじゃないか」

そういう反論が聞こえてきそうですが、トヨタはただ「やる」のではありません。「徹底する」のです。参加者全員が必ず事前に資料をちゃんと読んでいるのです。頭で「わかった」と言うことと、実際に「徹底する」ことでは雲泥の差があります。決めたら徹底するのがトヨタです。

時間は動作の影です。時間短縮の号令をかけるよりも、外段取りをいかに取り入れるかを考えるのです。

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