東京五輪の本当のレガシーとは
2点目に、世界に名の通った方々を、もっと国を挙げて支援してゆく必要があると思います。外国のお客さんが、日本と言えばこの人だ、と思うような方々です。あるいはまだ無名だけど、間違いなく世界に通用するぞ、という逸材を全力で探す“万博オーディション”をやるのもありでしょう。
ところが日本は、国内向けの、ドメスティックな戦略はあっても、グローバルな視点がいまだに欠けているように思えます。たとえば韓国のエンタメ・コンテンツと比較するとその差は歴然ですね。その点が懸念材料ですが、逆にこの機会に「日本の見せ方」を新たに学んでゆけばよいのではないでしょうか。
3点目はこれと関連して、万博を見に来るインバウンド(外国人観光客)に長居してもらうための観光戦略です。日本には、あまり知られていないけれどもよいところがたくさんあります。コロナ禍で外国旅行できなくなった僕たち日本人も気づきましたよね。いっそ日本全国が万博会場だ、というくらいのスケールで、外国人の来場者に日本中を旅してもらう。グローバルな観光立国に向けて脱皮をとげるチャンスととらえることもできるのではないでしょうか。
東京オリンピックは、長い目で見ると膿を出し切るいいタイミングになったのではないでしょうか。オリンピックと同じことを万博で繰り返してはいけません。まだ3年ありますから、次の世代がどんどん参加して、世界に誇れる万博をみんなで作るぞという機運を盛り上げてゆきたいです。東京五輪がそのためのスプリングボードになれば、それこそレガシーになると思います。