【CASE2】待望の第一子の妊娠、流産の末たどりついた結論

会社員のK美さん(44歳)は大学卒業後、就職した会社で出会った1歳年下の夫と結婚。「22歳と若くして結婚したこともあり、子供は自然にできるものだと思っていた」と話すK美さんは、30歳を過ぎた頃になって婦人科を受診。以降、不妊治療をしてきたという。

「夫はもともと子煩悩な性格で、甥や姪のことも誰よりもかわいがっていました。自分が長男ということもあり、結婚当初から『両親が元気なうちに孫の顔を見せて安心させたい』と話していました」

なかなか子宝に恵まれなかった夫婦に、待望の第1子を授かることになったのはK美さんが43歳の時のこと。夫婦は大喜びしたものの、ほどなくして流産してしまったのです。

「あの時の悲しみは言い表しようがないし、今でも思い出すのがつらい。でも、もっと傷ついたのが夫からのなにげない言葉の数々でした」

流産のショックで何日も会社を休み、ベッドから出てくることができないK美さんに対し、夫がかけた言葉は、「妊娠がわかった時、K美が仕事を辞めていればこんなことにはならなかったかもしれないね」だったという。K美さんいわく、「まるで私が悪かったような言い方をしてきた夫に驚きと怒りでいっぱいになり、返す言葉もありませんでした」

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その後も毎晩泣き続けていたK美さんに、夫は「いつまでも泣いていたって、赤ちゃんが生き返るわけじゃないんだからK美も頑張らないと」と笑顔で励ましてきたとのこと。「もちろん、夫の言うことは頭では理解できました。それでも現実を受け止めきれなくて苦しんでいるのに、なぜ夫だけ前に進むことができるのか。笑顔になれるのか。私を励まそうとしていたのかもしれないけれど、当時の私は一緒に涙を流してくれることを望んでいた」

それからというもの、K美さんは夫と別れることを考えているという。

「悲しい出来事を乗り越えて絆を深める夫婦もいるかもしれませんが、私は夫との距離がかえって遠くなった気がしてなりません。ただ、夫に対して申し訳ないという気持ちもあります。『若い女性と再婚したら子供のいる人生を歩めるのでは』と」

現在、K美さんは後悔のない人生を送るための選択肢のひとつとして前向きな離婚を考えているところだ。