夫婦の関係があやしくなったとき、どんな対処をすれば修復できるのか。夫婦問題研究家でパートナーシップアドバイザーの岡野あつこさんは「夫がやってしまう失敗の典型例は、よかれと思って言う関係修復のアイデアが自分本位で押しつけがましく、妻の気持ちや希望を考えていないケースです」という――。

※本稿は、岡野あつこ『夫婦がベストパートナーに変わる77の魔法』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

シニア夫婦は互いに手を握り合っている
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どんなときも明るい未来が見える言葉をかける

私は相談者のファーストインプレッションで、この人は修復できそうだな、この人はむずかしいかもしれないなどと感じます。両者の違いは表情。笑顔で「こんにちは」とおっしゃる方と、うつむいたまま挨拶もままならないという方に大きく分かれます。

もちろん私がよい予感を抱くのは前者です。

悩みを抱えているのだから暗いのは当たり前なのでは? と思う人がいるかもしれませんが、私が着目するのは、自分の気持ちをしっかりコントロールできるかどうかということ。

本当はつらいのに明るくふるまえる人は、相手軸に立っているのです。一方、ドンヨリしている人は、自分のつらさを理解してほしいと自分軸で押し切ろうとしている。相手の心を揺さぶることができるのは、もちろん相手軸に立っている人のほうです。

自分の感情を制御できず、人前で落ち込んでいる人が、相手との距離を縮めるのはなかなかむずかしいなと感じます。

関係がうまくいっていないということは、そうなるだけの暗い過去があるわけですが、ただでさえそういう状況のときに、ドンヨリとした表情でいくら「やり直したい」といってみたところで、その言葉は相手の心に入っていきません。

「これまでは、傷つけてしまってごめんね、でもこれからは心から反省して支えていくから、一緒に歩んでいこう」といえば、相手の心にも光が差してきます。

どんなときでも、人は「明るい未来」を見せてくれる人に心惹かれるもの。まして相手の心も暗くなっているときなので、努めて明るい言葉で希望に満ちた未来を感じさせてあげることです。

そのためには、過去への反省だけでなく、自分はこのようにしていきたい、一緒にこうなっていこう、という具体策やビジョンを示してあげることです。

もちろん、未来のことはわかりませんし、この世に絶対はありません。だからこそ、言葉で明るい気持ちにさせてあげるのです。

いまは離れて流れる小川になっているけれど、やがてまた合流し、大海原へ向かう。そんなポジティブなイメージを抱いて、相手に「いつかまた一緒に初詣に行きたいな」「老後は二人でのんびり過ごしたいね」といった具合に、明るい未来が見える言葉をかけ続け、雪解けのときを迎えましょう。