“選挙対策“を銀行が丸ごとのむとは思えない

中小企業の経営は、トップの経験や人脈などに依存する部分が大きい。その継承は容易なことではない。属人的な要素が大きいためだ。コロナ禍にあってさらにその重要性は高まっている。今回の中小企業の事業再生に向けた新しい指針で、トップが引き続き経営を担える余地を残したことは高く評価できるのだが……。

政府は今月末の経済対策を受けて、2023年の通常国会に「私的整理円滑化法案」の提出を目指すという。岸田政権は10月で発足から1年を迎えたが、支持率は40%を下回る低空飛行。「来年春には統一地方選挙が控えている。コロナ禍で苦しむ地方の中小企業救済は政治の最優先課題となる」(同)とみられており、事実上、中小企業の負債を一部免除する「私的整理徳政令」は一丁目一番地の施策といっていい。

だが、コロナ禍に苦しむ企業を助けるといえば聞こえはいいが、実際は銀行の負担が増え、融資する銀行の足並みを揃えることはなかなか難しい。結局、形は作れど、魂が入らず、有形無実化しかねないリスクもある。

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