とすれば、天気によって左右される気分や感情が、株式市場に影響を与えていても不思議ではない。そこで、過去40年間の大都市における雲の量と株価の関係を調べてみた。すると、雲の量が少なく晴れた日には株価が上昇しやすく、雲が多い日は上昇しにくいことがわかった。
特に東京の場合は顕著だ。東京には機関投資家や個人投資家が多く住んでいるからだろう。晴れた日の日次平均収益率は0.087%となっているのに対して、曇りや雨の日の日次平均収益率は0.018%のマイナスとなっている。
札幌を除いたほかの地域も、晴れた日の日次平均収益率は曇りや雨の日のそれを大きく上回っており、明らかに市場に「晴天効果」があることがわかる。
実際、晴れの日の株価上昇の割合は56.4%で、曇りや雨の日の51%を上回って、統計的に見ても、天気と株価には強い関係があることがわかる。株価指数をTOPIXにして分析しても結果は変わらなかった。
この傾向も世界の主な株式市場で見られる現象である。
日常の私たちの行動では、7~8割は合理的に動いている。しかし、ときに感情的になって、周囲の人を振り回したり、振り回されたりすることがある。周囲の雰囲気に流され、そこに追随して、愚かな行動をとり、後悔することも珍しくない。
投資のプロであっても、そのときの気分や感情に流されてしまうことがある。人間は孤高を持して生きていくよりも、周囲に追随したほうが楽に生きていけることが多い。
他のヘッジファンドも買っているから大丈夫だと自らに言い聞かせて、リスクを考慮せずに金融商品を買う。短期的には運用収益を上げることができても、長期的にはきわめて危険な他人への追随行動である。サブプライムローン問題からリーマン・ショックに至った世界同時株安は、その典型だった。
人間は、感情が昂ぶるとリスクを顧みない行動をとりがちなことを忘れてはならない。