「周り」も含めて自分である
「周り」とは、世の中全体ということでしょうか?
いいえ、違います。人生の前半ならそれでもいいかもしれませんが、後半生においては、自分自身を映す鏡としては輪郭が定まらない気がします。あまりに漠としていて、結局、捉えどころがないからです。
では、「周り」とは実際どのようなものでしょうか。
ヒントとして、アメリカの哲学者マイケル・サンデル(1953~)が説いている次のような考え方があります。私なりにまとめてみましたので、まずは読んでみてください。
自分が今所属するB国のためにと、戸惑いなく爆撃する人はおそらくいないでしょう。その街は自分の「オリジン」であり、自分の物語の一部。いわば自分自身を形づくってきた人生と不可分な要素だからです。
「周り」も含めて自分。なんとなく実感を持てる気がしませんか。
自分自身と身近なコミュニティーは、切っても切れない関係にある。身近なコミュニティーの中で自分のストーリーは創られ、そのコミュニティーとの関わりによって、自分とは何かがハッキリしてくる。さらに言えば、身近なコミュニティーとの関係性こそが自分自身を形づくる要素なのです。図にすると、図表2のようになります。先述の、「ポジショニング論」と「資源ベース論」の不可分性に似ています。