自分を知るための2つの戦略

このように、人生とはオンリー・ワンのユニークさを求め、「本当の自分」に出会うための旅路です。

自分
写真=iStock.com/BBuilder
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以前読んだ般若心経の本に、こんなことが書いてありました。

「本当の自分に出会うということは、利己的な偽りの自分を脱ぎ捨て、物事に縛られず万物に生かされていることを理解し、周りに振り回されない自由で柔軟な心と体、つまり、『自在』を得ることだ」

このような深淵な命題を理解するのはかなり難しそうですが、ビジネスに携わってきた私たちには、2つの糸口があります。

『人生は図で考える 後半生の時間を最大化する思考法』
『人生は図で考える 後半生の時間を最大化する思考法』

経営戦略論で出てくる「ポジショニング論」と「資源ベース論」です。

ポジショニング論は、企業が利益を上げるためには、「どのような業界で闘うのか」が大事だと主張します。マイケル・ポーター(1947~)というアメリカの経営学者の研究が有名です。

一方、資源ベース論は、企業が利益を上げるためには「どのような資源・能力を有するのか」が重要だと主張します。ジェイ・B・バーニー(1954~)という米経営学者の説が有名です。

2つを合わせて言い換えると、「何処で闘うか」「何を武器に戦うか」が、競争優位を生み出す出発点になると言えます。これは、自分自身の人生を考える上でも役立ちます。

「自分は今、何処にいて」、「どんな特徴を持っているか」の双方を理解するのが肝要だということです。

自分自身を捉えるためには「周り」との関係性を考えることが必要

この2つが不可分であることも忘れてはいけません。

まず、何処にいるかが明確でなければ、どんな特徴を大事にすべきかわかりません。たとえば、原始時代にいるのと現代にいるのでは、求められる大事な要素はまったく異なります。逆に、どんな特徴を持っているかがハッキリしなければ、自分の今いるところが良いかどうかの判断もつきません。

つまり、自分自身を捉えるためには、自分のことだけではなく、「周り」との関係性を考えなければならないということです。