売上比率の少ない衣料品のテコ入れを図る

【相木】近年ですと時代の流れから、調理にあまり時間がかからない惣菜や、レベルが上がりおいしくなっている冷凍食品を充実させています。大規模なスーパーセンターでは衣食住すべてを扱っていますので、売り場によっては販売効率が良くないエリアもあります。検討は必要ですが、場合によっては自社だけで販売効率を高めるのではなく、他社の優れたテナントに入ってもらうことも視野に入れています。

今、100円ショップのセリアには30以上の店舗にテナントとして入っていただいています。販売効率や収益性の向上はもちろん、私たちとは異なる層のお客様を集客してくださるメリットもあります。そういった意味での改装を積極的に進めていきたいと思います。

【田中】衣食住の話が出ましたが、いうまでもなくGMS(総合スーパー)、特に大手総合スーパーの課題は食料品部門以上に非食料品部門にあるといわれています。ベイシアの場合、非食料品部門はどのような状況でしょうか。

【相木】店舗によって違いますが売上の85~90%くらいは食料品が占めていて、衣料品の占める割合はそれほど大きくはありません。しかしベイシアはさかのぼると呉服から始まっていますので衣料品はなんとかしたいと思っていますし、出店エリアでは衣料品をお求めになるお客様がご年配の方からファミリー層までたくさんいらっしゃいます。ここの磨き込みを本気でやりたいと思っています。

ただ、ベイシアに入社するときに衣料品部門を希望する人は少なく、売上構成比率から考えてもそれほど大きくはありません。そのため、人材を育成するとともに外部人材の登用にも力を入れます。非常に優秀な人材がこれから入社してくることも決まっておりまして、もう一度衣料品を立て直し、伸ばしていきたいと思っています。

GMS全体が厳しい状況ですが、私たちが提供するのはワンフロア型の2000~3000坪の大きなスーパーセンターです。ここに効率的に買える衣料品ゾーンがあることは、お客様の利便性にとってもプラスでしょう。

グループ内に「ワークマン」というお手本がいる

【田中】衣料品については仕入れだけではなくて、自分たちで商品開発をするところまで目論んでいらっしゃるのでしょうか?

【相木】そうですね。品質と機能性にこだわった下着や肌着、ワークマンの担当者から見ても強力だといわれるようなチノパンをはじめ、一点一点見ていくと非常に良い商品が揃っています。ただ、店舗展開という意味ではワークマンには全く敵わない状態です。グループ内に良いお手本がいますので、しっかり勉強してキャッチアップしたいと思っています。

【田中】グループ内にワークマンがあり、さらにそれ以上の品質の衣料品をつくるというのは、それだけでも凄く志が高い話ですよね。

【相木】そうですね、全体のポートフォリオもありますので、どこに9割のリソースとエネルギーを割くかとなると、やはり食料品で磨き上げていくことが最優先になりますが、衣料品にも力をいれていきます。

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