融資が止まれば企業倒産が増える

企業の倒産件数を見てみると、コロナ禍が始まった2020年以降、倒産件数はむしろ減少していることが分かる。

コロナ禍で景気が悪くなるのだから、普通に考えたら倒産件数は増加しそうなものだが、実際に起きたことは正反対の現象だ。

企業は赤字になった瞬間に倒産するわけではない。

資金繰りがつかず債務の支払不能に陥ったり、経済活動を続けることが困難になったときに倒産する。

コロナ禍において政府が無担保・無利子の融資(ゼロゼロ融資)を積極的に行ったことで、業績が悪化しても、企業は資金繰りに行き詰まらなかった。だからこそ、倒産件数は増えなかったのだ。

アフターコロナで企業業績は改善するかもしれない。だが同時に政府の支援が終了し、融資を受ける難易度が元に戻る。しかも、コロナ禍で受けた融資の返済がこれから始まっていく。

コロナ禍の2年間で私たちの消費行動は大きく変容してしまった。リモートワークの普及などの影響で、一部の業態の業績は、もう元には戻らないだろう。

するとどうなるか。アフターコロナで経済活動が再開する一方で、企業の倒産件数はむしろ増加する、という現象が起きるだろう。

実際、先に挙げた倒産件数の推移のグラフでは倒産件数の上昇傾向が見て取れる。