成功する都市、失敗する都市

よくいわれることだが、統計と実感値にはおおむね2~3年のタイムラグがある。人口減少が肌感覚で伝わるにはしばらく時間を要するが、重要なことは、兆候が出た時点でいかに素早く手を打つか、ではないだろうか。

幸い自治体の人口減少について、克服事例はあちこちで見られる。

9年連続人口増に転じた明石市(兵庫県)を筆頭に、子育て支援の徹底とそれらの施策を周辺都市の住民に周知するシティセールスを実行し続けている都市が連続人口増の常連になっている。

川崎市やさいたま市のように、かつて利便性は高いもののブランドイメージがついてこなかった都市も、近年では都市ブランディングの強化で成功を収めている。

強固な岩盤で地震に強く、東京に近いという特徴を武器に、「DX時代のキーファクター」であるデータセンター誘致に成功した印西市(千葉県)は、いまや日本を代表するDC(データセンター)銀座に成長した。

人口減少対策の鍵を握るのは、子育て支援と都市の特性を生かした成長戦略だ。逆に、画一化された誘致戦略はことごとく失敗している。

そう考えれば、都市特性が突出している京都市ならではの打ち手はたくさんあるように思う。

「都市ブランド」に活路あり

労働市場のシュリンクは、企業に大打撃を与える一方、企業は採用に力を注ぐようにもなる。そうなったとき、大量の人材を輩出できる大学の街・京都には非常に大きなアドバンテージがある。

企業誘致も他都市と同じようにやるのではなく、京都ブランドに対する憧れが強い外資系企業などに照準を絞って取り組んだほうが成功する確率は高まるはずだ。

人口争奪戦がいよいよ激しさを増す中、ヒト・モノ・カネの3要素のうち、ヒトとカネが欠如しつつある京都が復活をするのは容易ではない。だが、他都市にない圧倒的なモノと都市特性を生かせば、それでも活路は十分にある。

京都市を襲う財政難と人口減にどう立ち向かうか、京都市の真価がまさに問われている。

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