脳は面倒なことを嫌うので、商品代金が714円だとしたら1000円札を出したくなる。質問[8]のようになかなか「決断」ができない人は、買い物の支払い時に、500円玉1枚、100円玉2枚、10円玉1枚、1円玉4枚というように小銭を財布から出す訓練(左脳的な論理的な判断)を続けていると、やがて必要な小銭が映像(右脳的な映像的判断)として浮かぶようになる。脳を直感的に使えるようにすることも、決断力の訓練には有効だ。
[9]「豊かな表現力」を身につけるためには、NGワードをつくるという手がある。例えば、グルメ番組なら「ジューシー」という言葉をNGにしてしまう。常套句が使えないという制約があるほうが、思いもかけない表現を生み出しやすいのである。
質問[10]の冷えた「部内会議」は誰しも経験していることだろう。そんなときは誰でも興味の持てる話題──例えば昨日見たテレビ番組について10分間話してみよう。みんなの緊張を解いて、場を温めてから本題に入っていくことができる。
精神力を左右する交感神経とは
ここからは、メンタルの悩みに答えていく。ひらめきは、脳内ネットワークを発達させることが大切だったが、メンタルでは脳内分泌を活性化させたり、交感神経と副交感神経を上手にコントロールすることが肝心になる。
まず、質問[11]のように「やる気」を保てない場合。対処法は簡単。仕事をやり残せばいい。100%を目指さずに今日は80%で終えて、明日出社したら20%を片付けると割り切って帰ってしまう。
脳にとって心地いい状態とは神経伝達物質であるドーパミンが出ている状態。仕事を終えると達成感は得られるけれど、ドーパミンが減ってしまう。そうすると翌日はゼロからの再スタートになるため、やる気が起きないのだ。そこで仕事を意識的に積み残してドーパミンが出ている状態を保つのである。
やればできるのにできない人([12])は、例えば、朝一の部費精算を日課にするといい。そもそも、よく考えてほしい。出社して早々の状態で、最も難しい案件を片付けることができるだろうか。まずは部費精算という低いハードルを跳んで、適度なドーパミンを得る。それから、徐々にハードルを高くしていくことで仕事を効率よく処理できる。また部費精算をすれば、小さなストレスから解放され、実際にお金という報酬も得られるのだから、脳にはとてもいい。