優秀な人材とは

ところで、優秀な人材とはどんなタイプの人間でしょうか。

僕にとっては、想像を超えた答えを出してくる人、他の人が出せないような答えを出してくる人です。他の人がやっていることをうまくやったとしても、その人は代替可能ということになりますよね。誰もやっていないことをやっている人は、社会に見つけられたり評価されたりしない限りは単なる「頭のおかしい人」だと思われがちですが、そういう人と優秀な人とは僕の中ではけっこうラインが近いんです。なかなか世間で出会う機会はないですし、まねしてなれるものではないと思います。まねしている時点でなれないわけです。

AIがデザイン業界にもたらす影響

代替可能という点では、AI(人工知能)についての質問もありましたが、そもそもAIが人間の仕事を奪うというよりは、ツールとしてみんなが使えるものなので、うまく使ったほうがいいという話なんだと思っています。

たとえば、設計に必要な構造計算。そこはAIまかせにしちゃったほうが楽だし完璧です。今後、人間がやるよりも機械がやったほうがいい分野は広がってくると思うんですよ。業界や会社にもよりますけど、お金が動いているところほどAIを使うことになってくると思います。

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デザインという感性が重要になる分野でも、個人の思い込みでつくるよりも、データから寄せていったほうがつくりやすいんですよね。一般大衆の知識がどのレベルにあるかという認識がデータとしてあるほうが、多くの人に受け入れられるデザインをつくることができる。逆に、オリジナリティーが高すぎると一般大衆が理解できないということが起きてきます。そこらへんのバランスも、データを使ったデザインにはなかなか勝てないんじゃないでしょうか。一般多数に向けたマス市場では、今後AIの進出はかなり広がっていくと思っています。

一方で、フェラーリという会社がめちゃくちゃ高くて、速くて、その代わりに維持・メンテナンスが大変な車をつくっているんですけど、どうやってデザインしているかというと、非合理的なものをあえて選んでいるんですよ。合理的な車が欲しかったらトヨタとか日産を買えばいいんですけど、そうじゃない非合理的なものが欲しい人が求めているデザインは、AIには難しいと思います。