禅僧が「お金がないなら人から借りればいい」と話すワケ

人が抱える悩みについて、もうひとついえることがあります。

それは、悩みの多くは人間関係から生じているということです。

「あの人がなにを考えているのかわからない」「自分のやりたいことがわからない」……。職場でも、上司や部下との関係にほとほとまいっている人もいるかもしれません。

そうした悩みのほとんどは、人の心がよく見えないために生じるのです。

「でも、お金の悩みだってあるじゃないか」と思う人もいるでしょう。頑張って働いていても、「お金が足りない」と悩むときもあると思います。それは、別に人間関係の悩みではないのでは……?

もし、そんな悩みを打ち明けられたなら、わたしはこう答えます。

「本当にお金が必要なら、家族や信頼できる友人に頼んで、頭を下げて借りればいいではないですか」と。

「そんな負け犬のような振る舞いを簡単にできるわけがない」と思うかもしれませんね。

ですが、それこそがまさに人間関係なのです。

そんな振る舞いができないのは、人様にお金を借りるのは情けない振る舞いだと考えているからです。

「お金を無心するなんて親や友人になんと思われるだろう?」「給料が安いのではないか、仕事がうまくいっていないのではと、友人に思われるのではないか?」と思っているからです。

あらゆる悩みの原因は人間関係から生まれる

自分のなかにある不安や恐れ、あるいは「人からよく思われたい」という気持ち。そんな他者に対する感情にとらわれるために、自分の心に「蓋」がされてしまうわけですね。

会社での序列、クライアントからの評価、妻や子どもの視線……など、仕事でも家庭でもすべて同じです。わたしたちの悩みの多くは、人間関係からもたらされています。

では、わたしたちは、なぜ人の心によってそんなに苦しむのでしょうか?

その答えは、やはり「自分に執着しているから」という真理に戻ってきます。

自分という存在のなかに、なんらかの実体(我)があると考え、それに執着してしまう。この「我執」が、際限のない苦しみをもたらす原因になっているのです。