急務の衛星ハッキング対策、欧州宇宙機関も本腰

衛星乗っ取りのリスクは近年、大きな課題として認識されるようになってきた。米テックサイトのZDNetは今年1月、欧州宇宙機関(ESA)が衛星ハッキングコンテストを主催すると報じている。ESAが運用するOPS-SAT衛星への通信が6分間解放され、ハッカーたちは制御乗っ取りの腕前を競う。ESA側は攻撃のシナリオを収集し、今後のセキュリティ対策に生かす意向だ。

衛星のジャックはまれに発生しており、古くは80年代から放送への介入が起きてきた。米ワイアード誌は、1986年にキャプテン・ミッドナイトと名乗るハッカーが放送衛星「ギャラクシー1号」をハイジャックし、米HBOの放送に割り込んだと報じている。これとは別に、2009年には米海軍の衛星をジャックしたとして、ブラジルで39名が逮捕された。

コッシェ氏は同誌に対し、衛星は認証や制御のしくみに十分にセキュリティが考慮されていない場合があると指摘している。個人のハッカーによる攻撃を受けるおそれがあるほか、特定の国家が地上局を用意するだけで、他国の衛星を使ってプロパガンダを流すことも原理的には可能だという。

技術の粋を集めた人工衛星にも、悪意ある攻撃に対してはぜい弱な一面があるようだ。

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
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