ホテルコンドミニアムとは
ホテルコンドミニアムは、分譲マンションのように完成前からホテル客室が部屋ごとに販売され、不動産開発会社または不動産仲介会社などから、一部屋の所有権を購入しオーナーとなる。その際、別途、ホテル運営会社と管理契約を結び、オーナー自身が利用しないときは、一般客にホテルの一室として貸し出し、経費を差し引いた宿泊料金を客室レンタル収入(インカムゲイン)として得ることができる。
客室レンタル金額が100%とすると、レンタル促進費用とレンタルプログラム管理費用などが管理会社から差し引かれ80%となり、80%のうち諸経費を引いた30~40%程度が、オーナー側の実質宿泊レンタル収入となる契約が一般的である。一泊10万円の宿泊料金であれば、約4万円がオーナーの手元に入ることになる。
当然ながら、宿泊料金の単価が高ければ高いほど(その分、不動産販売価格も高いのだが)また、一般客による宿泊利用期間が長ければ長いほど、オーナーの実質宿泊レンタル収入は増え、インカムゲインを得ることができる。
自己利用だけでなく貸し出しが可能だが……
なお、所有者であるオーナーももちろん自己保有する部屋を利用することができる。通常はホテルとして運用されているため、ホテルとしての快適なサービスを享受できる。
もっとも、オーナーが私物を退避させる鍵付きのオーナー専用ロッカーなどはあるものの、オーナーの私物を置けない(置いても盗難や損傷リスクあり)、ベットルームやバスルームを他人に使われる、という点で抵抗感があるオーナーも多いい。
このため、自己利用を基本的に想定せず、貸し出しのみの純粋な投資商品として割り切るか、または逆に、貸し出しによるインカムゲインを求めずに、自身の別荘としてのみ利用する、という選択をする日本人の所有者も多い。
ところで、ホテルコンドミニアムを不動産投資商品としてみた場合、インカムゲインはどれくらい得られるのだろうか。例えば、ニセコの高級ホテルコンドミニアムの場合、インカムゲインは、インバウンドが押し寄せ稼働率が高かったコロナ禍前でも、実質1~3%程度だ。
オーナー自身が利用できるメリットはあるものの、東京など首都圏などでのレジデンス向け不動産投資では概ね実質3~5%程度の利回りが期待できることと比べれば、インカムゲインそのものにそれ程魅力があるようにはみえない。ましてや、為替リスクや地政学リスクなど条件はあるものの、アジアなど海外不動産の投資利回りからみれば雀の涙のようにもみえる。