不動産の目利きである富裕層が目をつけた地方都市
医師や自営業者、投資家といった富裕層が不動産購入や投資の対象とする都市、といえば、国内ではやはり東京になるだろう。それも湾岸地区や山手線内など限られた地区が人気だ。一戸あたりの価格が億超のタワマンであっても飛ぶように売れる。それはコロナ前もコロナ禍も同じだ。
そうした将来的にリターンをもたらしてくれる可能性の高い物件の目利きである富裕層たちが今、熱視線を注ぐ地方の都市がある。
それは、札幌だ。
人口約200万人の北海道の中心都市。市内には札幌市時計台、大通公園とさっぽろTV塔、クラーク博士像など観光地も多数あり、ススキノなど繁華街も有名であり、ジンギスカンや札幌ラーメンに海産物など食の豊富さも言うまでもない。
スキーリゾートとしても有数であり、札幌国際スキー場やサッポロテイネスキー場などがあり、札幌藻岩山スキー場やさっぽろばんけいスキー場は市中心部から車で約20分という近さだ。
なぜ、この地方中核都市に富裕層の目が、これまで以上に集まっているのか。
ポイントとなるのは、インフラだ。まず、2030年度完成の北海道新幹線の札幌延伸、2030年の札幌冬季オリンピック誘致に加え、高齢化や少子化が進むなかで札幌の利便性が評価され、道内一極集中が加速している。
そのため、札幌中心部では再開発が続きタワマンや商業ビルの建設ラッシュが続いているのである。
さらに、札幌市周辺の北広島市、恵庭市、石狩市、江別市などいわゆる札幌圏でも、札幌市と比べた割安感からベッドタウンとして住宅地・商業地ともに、地価が上昇している。特に、北広島市は、プロ野球の北海道日本ハムファイターズの新本拠地として2023年春に開業を予定しているボールパークエリア「北海道ボールパークFビレッジ」による効果も大きい。
実際、国土交通省が2022年3月に発表した札幌市の2022年の公示地価(2022年1月1日時点)では、住宅地が9.3%上昇(前年度4.3%上昇)、商業地は5.8%上昇(同2.9%上昇)と非常に高い伸び率となった。タワマンの新設が相次ぐなど住宅地需要は堅調であり、住宅地の上昇率全国トップ10を札幌圏で独占した。商業地では、オフィス需要が堅調であり、2031年春の札幌への北海道新幹線延伸と2030年冬季五輪招致を見据えた相次ぐ再開発計画の進展とともに地価が上昇しているのだ。