30分の急速充電は12kWh程度

翌日に備え、充電を行うこととした。まだBEVを所有していない私の家には充電設備がない。そこで、最も近いところにある藤沢市役所の急速充電器を使うこととした。ここは数少ない無料で充電できる充電スポットである。

市役所に着くと、なんと充電中の先客がいて、その車の充電が終わるまで10分ほど待つ必要があった。その後充電を開始し、充電完了まで30分待つ必要がある。しかし藤沢市役所内には椅子がたくさんあり、コンビニも併設されているので、飲み物を飲みながらクーラーの効いた空間で快適に待つことができた。

写真提供=筆者
藤沢市役所で充電中のサクラ

藤沢市役所の急速充電器は44kWの出力で、理論上は30分で最大22kWhの充電が可能だ。サクラのバッテリーは20kWhなので満充電までできそうだが、そうは問屋が卸さない。サクラは最大30kWまでの充電にしか対応していないのだ。従って、どんなに高出力の充電器でも、30分で充電できるのは最大15kWhということになる。

実際には50%を超えるくらいからバッテリー保護の観点から出力を車両側で制限するようで、最初は30kWという最大値で充電できていたものの、最後は15kW程度まで落ちていた。最終的に充電できたのは約12kWhで、おそらくこれがサクラでの30分の急速充電の最大値ではないかと思われる。

バッテリー残量は72%、走行可能距離は100kmとなった。もし自宅に普通充電器を設置すれば、200V/15Aで出力3kWなので、ゼロからでも7~8時間で満充電にできる。

高齢者でも乗り降りは容易

この日、サクラの美点がもう1つ明らかになった。軽ハイトワゴンなら当たり前のことかもしれないが、高齢者を乗せるのがきわめて容易なのである。

今まで高齢の母を法事や墓参りに連れて行く場合、寺のある港区赤坂まで50kmくらいあるのでBMWを使っていた。旧型BMW1シリーズは着座位置が低く、サイドシルも高いので高齢者には非常に乗り降りしにくい車だ。

前述の通り、サクラの走りは素晴らしく、もしサクラに買い換えたなら母を連れた墓参りはこの車で行くことになるのでは、と頭をよぎったのである。そこで翌日の日曜日に「墓参りシミュレーション」を行うことにしたのである。

満充電なら往復可能かどうかをシミュレーションしたかったので、翌朝改めて藤沢市役所で充電を行った。バッテリー残量72%からのスタートだったが、やはり出力制限がかかるため100%には至らず、97%で充電は終了した。走行可能距離は123kmである。