欲求を理性でコントロールできなくなる
・「前頭前野」の働きが低下している
人間は通常、欲求や行動を理性でコントロールしています。これは、脳内の、理性をつかさどる部分である「前頭前野」が、本能や感情をつかさどる「大脳辺縁系」に対して優勢であるためです。一方、ゲーム依存の人の脳では、前頭前野の働きが悪くなっていることがわかっています。そのため、ゲームを求める欲求を理性でコントロールできなくなり、ゲームをやめられない状態に陥ってしまいます。
これらの脳への影響はゲーム依存患者に特有のものではなく、他の依存症患者の脳でも同様の反応が見られることがわかっています。
繰り返しになりますが、やめたくてもやめられないのは意志が弱いせいではありません。ゲーム依存はギャンブル依存やアルコール依存などと同じように病気として捉える必要があるのです。脳の仕組みに起因するため、誰でも何かに依存してしまう可能性がある点にも、留意が必要です。
精神疾患との関連も
ゲーム依存には他の精神疾患を合併している場合が多いこともわかっています。うつ病を合併する割合は19%、自殺のリスクは35.4%に上ったという報告もあります(樋口進「ゲーム障害について」国立病院機構久里浜医療センター)。新しい疾患なので、さらなる検証が必要ではありますが、精神疾患がゲーム依存のリスク因子となっている、つまり、精神疾患がゲーム依存の引き金になったり、逆に、ゲーム依存が精神疾患を悪化させる可能性も否定できません。ゲーム依存が疑われる際には早めの対処が何より大切と考えます。
治療が可能な専門医療機関は、近年増えてきているとはいえ、患者数の増加に対して、まだ十分とは言えない状況です。インターネットに公開されている専門医療機関リストなどを参考にご相談されることをお勧めします。(「インターネット依存・ゲーム障害治療施設リスト(2020年版)」久里浜医療センターホームページ)