運動前に身体を冷やすと熱中症リスクが低下

身体冷却は運動中に行うことももちろんですが、運動前に身体の冷却を行う「プレクーリング」が長時間にわたり暑熱環境下で運動を行う際には有効です。

プレクーリングの目的は、運動前に体温を下げておくことになります。同じ運動であれば、体温の上昇度合いは同じですので、運動前に下げた分だけ、その差が維持されることになります。図表3は、運動前に深部体温を冷水浴で低下させた状態と、何もしなかった場合でのその後の運動中における深部体温の上昇を示したものです。

運動を行うことによって深部体温は上昇しますが、運動開始時の体温差は運動が継続しても維持されていることがわかります。

つまり、熱中症の発症要因が過度な体温上昇だとしたら、運動前の身体冷却はそのリスクを軽減することになります。

そうなってくると、どのようなタイミングで、どの冷却方法を利用するかということが問題となります。

そこで、図表4に、身体冷却の種類と具体的な手法、運動時における各身体冷却手段の実行性および深部体温への効果を表にしてまとめておきました。

身体冷却の方法はスポーツの種類によって実践できる選択肢が異なります。自身の活動に合った、より効果的な身体冷却を実践してください。