作り手と視聴者の目線を持つ強み

プロフェッショナルの作り手とミーハーな視聴者という二つの目線を持って出演できることが佐久間の強みであり、自分の好きなものを愛情たっぷりに話す姿は、個人の趣味嗜好が尊重される現代の風潮にもフィット。

たとえば、現在配信されている『神回だけ見せます!』(TVer)で名シーンについて語りまくる姿は本当に楽しそうであり、共演者でトーク巧者の伊集院光をリードするような話しぶりを見せている。

写真=TVer「神回だけ見せます!」オフィシャルページより

アラフィフ世代に入って管理職としての仕事が増えたが、現場が好きなため退社を選んだこと。さらに円満退社で番組制作を継続していることも含め、佐久間は現在の視聴者が好印象を抱くような言動を見せ続けているのは間違いないだろう。

芸人から慕われるためにやっていること

最後にもう一つ、佐久間の強みとして挙げておきたいのが出演者、特に芸人たちとの信頼関係。

佐久間は芸人たちが若く売れていないころから、しっかりリサーチするほか、自らヒアリングするなどリスペクトを欠かさず、現場でもコミュニケーションを取り続け、編集も責任を持って担うことで信頼を得ている。だからこそ佐久間がテレビ東京を離れ、彼らが人気者になったあとも芸人たちとのつき合いが続いているのだろう。

『ゴッドタン』『ウレロ☆』におぎやはぎ、劇団ひとり、バナナマン、バカリズム、東京03、オードリーらを起用したことは広く知られているが、たとえば今をときめく千鳥も6年前に『NEO決戦バラエティ キングちゃん』でキー局初のMCに抜擢ばってきしたのは佐久間だった。ちなみに現在も担当番組だけでなく、YouTubeチャンネルでも若手・中堅の芸人たちを発掘し続けている。

「発掘」という先見の明があるだけでなく、新たな魅力を引き出すプロデュースも佐久間ならでは。日ごろ、劇場からラジオ、YouTube、動画配信サービスまで媒体を問わずアンテナを張っているため、テレビでは見せない性格、経歴、スキルなどに着目し、それにクローズアップしたオファーをしているという。

どのバラエティも「この芸人はこのキャラクターとこのギャグ」という起用に偏りがちな中、佐久間は新たな魅力を引き出すことを諦めていない。

たとえば『ゴッドタン』の「腐り芸人セラピー」に起用したインパルス・板倉俊之やハライチ・岩井勇気のように、本人にとっては新境地である上に、視聴者にとっても新鮮な笑いを届けようとしている。