7月10日の参議院選挙では、投開票に合わせてテレビ局が選挙特番を放送する。見どころはあるのか。コラムニストの木村隆志さんは「放送する内容も時間帯も横並びで、以前は話題を呼んだ池上彰氏の手法もすっかり定着してしまっている。こうした現状を打破できる番組を作らなければ、視聴者のテレビ離れも投票率の低下も進んでしまうだろう」という――。
今回の参院選選挙特番の見どころ
コロナ禍とロシアによるウクライナ侵攻がいまだ収まらず、さらに記録的な猛暑が続くなど日々の生活に不安を抱える中、7月10日に参議院議員選挙の投開票を迎える。
今回も各局が看板報道番組をベースにした選挙特番を放送。出口調査による議席予測、当落の速報、注目選挙区や候補者のドキュメント、キャスターやタレントによるインタビューなどの内容が「横並び」と揶揄されがちだが、各特番のコンセプトはグラデーションのように色分けされ、いくつか新たな取り組みも見られる。
昨年10月31日に投開票が行われた衆議院選挙特番での発言が批判を招いた爆笑問題・太田光の再登板をはじめ、元祖「無双」池上彰の新たな仕掛け、「チャラい」キャラクターの芸人・EXIT参戦など話題には事欠かないが、それぞれどんな見どころや変化があるのか。さらに、選挙特番の意義についてもふれていきたい。
速さ以外はオーソドックスなNHK
テレビ欄の順番で見ていくと、まずNHK総合は『衆議院開票速報2021』(19時55分~翌5時)を放送する。昨秋の衆院選特番から放送時間帯は変わっていない。
NHKの選挙特番と言えば、速報性にこだわり、「民放には絶対に負けない」という使命感を感じさせられる。先日、前田晃伸会長が「別に当確が1分遅くなろうが視聴者にとって大した問題じゃない」などと発言したことが報じられたばかりだが、報道局の意地にかけても速さはキープしていくだろう。ただ、「速さ以外はオーソドックスで特筆すべきところはない」という点も変わらない。
ふだん『NHKニュース おはよう日本』『ニュースLIVE!ゆう5時』『ニュース7』『ニュースウォッチ9』などを見ている高齢層中心の視聴者層に支えられ、今回も視聴率トップは間違いないだろう。