日本人から絶大な支持を受ける欧米のハロー効果

例えば、「中国では夏にザリガニ料理を食べる」と聞いたら、「ザリガニなんて」と敬遠するだろう。しかし、「スウェーデンなど北欧の夏の定番はザリガニ料理」と聞くと、「意外! 食べてみたい」と興味を持つ人が多いのではないか。実際、スウェーデン発のグローバル企業のイケアでは、毎年、恒例のザリガニフェアが好評だ。他にも、「ヒマワリの種を中国ではおやつに食べている」と聞けば「ヒマワリの種なんて」と否定的に思えるかもしれないが、「ヒマワリの種は、米国でメジャーリーガーが試合中に食べる栄養補助食品」と聞くと、急にスマートな印象を持ちやすくなる。同じ物事でも、欧米のハロー効果があると、私たちの印象は好転しやすい。

「まるで欧米ブランド」で成功した3つのメイドインジャパン

欧米ブランドは、日本の消費者にとって第一印象が良く、オシャレでスマートな良いものとして受け入れられやすい。ここでは、「まるで欧米ブランド」で常識を覆した3つの「メイドインジャパン」のヒット事例として、マークスアンドウェブバルミューダサヴァ缶を取り上げる。

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この3つの事例に共通するのは、「製品力でファンを掴み、ブランド力で広める」という成功ルートだ。いずれも、商品を手に取ってもらう「入口」には、顧客を感動させるほど高い「製品力」がある。メイドインジャパンならではの高い技術力やこだわりで、「目利き」の顧客を唸らせ、味方につける。そして、インフルエンサーの発信力や社会的な追い風も味方につけて商品を広げていく。

そのとき、商品に詳しくない「素人」のライトなユーザー層を取り込む場面で、「まるで欧米ブランド」が大きな効果を発揮する。パッと見の第一印象から「良いモノ」「オシャレなモノ」として納得感を与える「ブランド力」によって、勢い良く普及し、ヒット商品として定着するのだ。実際、3事例とも、ライトなユーザー層は欧米ブランドと錯覚して、日本ブランドとは気づかずに利用している場合が少なくない。

モノづくりの強みを活かすために、ブランドづくりで「まるで欧米ブランド」のハロー効果をしたたかに活用することは、有効な戦略の1つだ。それぞれの事例について詳しく見ていこう。