商品やサービスのブランド力を高めるにはどうすればよいのか。高千穂大学の永井竜之介准教授は「ブランドづくりで『まるで欧米ブランド』のハロー効果をしたたかに活用することは、有効な戦略の1つだ」という――。

「モノづくりは得意だが、ブランドづくりは苦手」な日本企業

「モノづくりは得意だが、ブランドづくりは苦手」

これは、多くの日本企業に共通する悩みの種だ。商品やサービスの質を高める「モノづくり」は得意でも、それを大きな価値として広める「ブランドづくり」は苦手にしている。だから、モノは良くても思うように売れない。

ブランドとは、もともと自社商品の目印にすぎなかったが、それが「このブランドのモノは良い」という信頼の証として優れた品質やデザインの目印になり、価値そのものを創り出している。アパレルが良い例で、同じような品質やデザインでも、有力なブランドのロゴマークが入るだけで何千円、ときには何万円も上乗せして支払う顧客が大勢いるという事実は、ブランドの価値を証明している。

カラフルな木製ブロック
写真=iStock.com/tumsasedgars
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ブランドの価値を高める「ハロー効果」とは

ブランドの価値について考えるとき、キーワードとなるのが「ハロー効果」だ。ハロー効果とは、物事を評価したり判断したりする場面で、目立った特徴に引きずられて、他の特徴の評価・判断が歪められる傾向である。好きな物事や有名な人のことは、客観的に考えれば優れていない部分まで、すべてを良く感じやすい。ブランドで言えば、有名ブランドや高級ブランドだと、品質もデザインもサービスもすべてが優れているように錯覚しやすくなる。ブランドの価値が高まれば高まるほど、ブランドのハロー効果は大きくなる。

ブランドの価値を高め、ハロー効果を大きくできれば、顧客が商品から感じる価値を高めることができる。また、問題や不祥事などのトラブルが起きても、「それでも、このブランドなら信頼できる」と思って顧客であり続けてもらえる。「攻め」の意味でも「守り」の意味でも、ブランドのハロー効果は企業の強力な味方になってくれる。

日本の消費者がハロー効果の影響を特に大きく受ける対象が、欧米ブランドだ。「欧米信仰」は今なお根強く、アパレル・コスメ・ジュエリー・時計・車をはじめ多くの分野で、欧米ブランドはハロー効果を発揮し、「より良い」「よりオシャレ」として価値を高めやすい。