本命ホストには「指名させてくれてありがとう!」

満面の笑顔でいちごチェリーさんが言う。

「本命は良人くん。彼は、まだホスト経験は1年半と短いものの、太いお客さんがついていて、出会った時には、もう店でナンバーに入っていました。若くて表情もあどけない、かわいい系の男の子なんですが、アルバイトホストで、ど素人だった咲夜くんと比べたら、その接客は雲泥の差。もう、“指名させてくれてありがとう!”という気持ちでお店に通ってます(笑い)」

もうひとりのお気に入りのキラオくんは、良人くんとは正反対のセクシー系ホストだ。

有名店の支配人で、月2000万円を売り上げたこともある実力者だという。いちごチェリーさんは、本命の良人くんのためには、できるだけ店に通い指名本数をつけるようにし、一方のキラオくんの店には、たまに顔をだして、経験値も高い“夜のプロ”の接客をとことん堪能した。

ホストと客の行き着く先は「男女の関係」なのか

水を得た魚のように、歌舞伎町をエンジョイするいちごチェリーさん。だが、彼女には配偶者がいる。

やはり、想像してしまうのは、ホストと客の行き着く先は結局「恋愛関係」なのではないかということ。実際ホストクラブには半世紀以上前の黎明期から、「枕」という言葉がある。「客と肉体関係を持つ」という意味だ。歌舞伎町に足を踏み入れてから、よく耳にしたのが「初回枕」という言葉。「初めて店に来たその日に“寝る”」という、そのままの意味だが、こうした単語が日常化しているほど、ホストと客は、“そういう”関係になることが当然のようだ。

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そのほかにも「本命の恋人のふりをする営業」という意味の「本営」、「営業抜きにして趣味で付き合う」、「趣味客」、果ては、ホストが営業後に客の自宅に「寝に」行く「家庭訪問」など、ホストクラブでのみ使われる「専門用語」は多々あるが、それらはどれも、ホストと客が「男女の関係」であることを前提としている。