彼にアドバイスするためにホスト営業を勉強
だが、指名客を得た咲夜くんは、あからさまに彼女に甘えるようになってくる。「その日は行けない」と言っても、来てくれ、と強引に誘い、無理な注文をさせようとする。いちごチェリーさんの他に、客を呼ぼうという努力も見えない。経営者である彼女には、その姿はあまりにも怠惰にみえ、何度も注意した。
彼にアドバイスをするためには、自分がホストを知らないと……と、いろいろな店の有名ホストたちのYouTubeを見ては、営業の仕方について勉強したり、ツイッターでDMを送ってきたホストたちに「実は、こういうコがいるんだけど、どうすれば売れるようになる?」と相談したりもした。だが、咲夜くんの姿勢は改善されることはなく、あげくの果てに、同伴の時に「疲れたから」と一言も発しないという出来事があり、彼女は、ついに爆発してしまう。
「もう、この子は何をいってもダメだと思い、縁を切ることにしました」。
初めてホストクラブに足を踏み入れてから、1カ月足らずのことだった。
自分好みのホストと過ごす時間にどっぷりハマる
その後、ホストクラブ通いからはすっぱり足を洗おうとしたが、咲夜くんのために、さまざまなホストクラブについて勉強を重ねたこともあり、「その時間を無にするのはもったいない」と思った。またそれ以上に純粋に歌舞伎町のホストクラブに対する興味がわいてきたという。
「咲夜くんについて相談していたホストくんたちも数名いたので、その中でやりとりしていた、数人のホストくんたちの店に、お礼もかねて、指名で遊びに行ったんです」
“義理”からスタートした咲夜くんと違って、自ら“選んで”行ったホストクラブでの体験はまったく別ものだった。咲夜くんと完全に切れたこともあり、自ら「ここ!」と決めたホストクラブで、自分好みのルックスで、一緒にいて楽しいホストたちだけと過ごすことを覚える。
そうなると当然のように歌舞伎町に通う回数はぐんと増え、その年の1月には、一日に3軒ほどをはしごするようになった。何軒かのホストクラブをまわり、5人ほどのホストを指名したが、中でも、彼女の心を掴んだのが、良人くん(23歳・仮名)と、キラオくん(30歳・仮名)の2人だ。