総理になっても変わらずに、いつも明るく周りに気を配る人だった
私が最後にお会いしたのは、6月8日です。ちょうど、亡くなる1カ月前です。
「いま日ロ関係は最悪になっているけど、ウクライナでの戦争が終わらない限りは、動かせない」
と安倍元総理は言っていました。プーチン大統領とは気心の知れた仲ですが、外交は政府の専管事項です。非友好国になってしまったし、岸田総理のやり方に軽々しく口を挟めば、岸田政権に影響を与えると考え、安倍元総理は発言にも配慮していました。
私は「とにかく早く停戦に持ち込むことです。日本が主導的な役割を果たしたほうがいいです」と話しました。岸田政権や自民党の党内事情も話題になって、安倍元総理は前向きに、自分の為すべきことをきちんとやっていきたいと言っていました。
政治家・安倍晋三は真っ直ぐに筋を通す人で、政策では絶対に引きませんでした。人間・安倍晋三は、昭恵夫人がおっしゃるように、優しくて気遣いの細やかな人でした。総理大臣という地位まで上り詰めるとぶっきらぼうになる人も多いですが、安倍さんはいつも明るく、周りに気を配りました。
いま頃は天国で、お父上の晋太郎先生が、「晋三、どうしてこんなに早く俺の側に来た」とビックリされながら、ニコッと笑って「晋三、俺が果たせなかったトップの座に就いて、しかも歴代で最も長く立派に務めた。よくやったな」と褒められているに違いありません。