会話の内容から「パパ活」の仕組みがわかることも
ユーミンを真似たわけではありませんが、私がコロナ禍の前に住んでいた東京のマンションのすぐ近くにはファミリーレストランのジョナサンがあり、以前はそこでよく周囲を観察していたものです。
ドリンクバーを頼み、コーヒーなどを飲みながら1、2時間ほど過ごして周囲の会話に耳を傾けると、勉強になることがたくさんありました。
あるときは、「パパ活」をしていると思しき若い女性と中年男性が、ジョナサンで待ち合わせしているのに出くわしたこともあります。そうすると、会話の内容からパパ活の仕組みがわかったりするわけです。
都心のジョナサンの面白いところは、ブルーカラーもホワイトカラーも空間を共にしていることです。
海外の場合、社会的な階級によって人が集まる場所が歴然と分かれていることが多いのですが、日本はある面では均一性が高く、一つの空間にさまざまな人が集まります。
もちろん同じ空間にいるからといって、そこでブルーカラーの人とホワイトカラーの人がコミュニケーションをするわけではないのですが、そこに座ってじっと耳をすませていれば、自分が生活している中でなかなか交わる機会のないさまざまな人たちの情報を得ることができます。
例えば、「トラック運転手の間でこんなゲームが流行っているんだ」とわかったり、「意外にNetflixを見ている人が多そうだ」と気づいたりするのです。
そして、そういった理解や気づきの積み重ねによって感性や感覚を磨くことが、自分をアップデートさせてくれます。
1日の5%は他人になったつもりで考える
もう一つ、私が自分をアップデートするために日常的にトライしているのは、性別や世代を超えていろいろな人の立場に立って考えてみることです。
1日の5%ほどは、「他の人の頭」で考えているのではないかと思いますし、マーケットとも「対話」しているつもりです。
そうやって考えたことは、Facebookに投稿することもあります。
例えば政治のことなら、「今の状況は岸田さんの目にはどう見えているのか、どう考えてどんな手を打つだろう」「菅さんだったら?」「高市さんだったら?」などと考えて文章に書いてみたりもします。
考えるだけではなく、書いてみることで思考がより整理されるからです。
もちろん、どんなに「○○さんだったら」と考え抜いたところで、相手の心の中に入ることはできません。
それでも自分の立場から離れて客観的に情勢を分析し、「この状態で○○さんだったらどうするか」と思考を巡らせることは新たな気づきをもたらしてくれることがあります。
資産運用会社の経営者という立場では、「野村證券だったらここでどう動くだろう」「大和証券だったら?」「三菱UFJ銀行だったら?」などと考え、商品戦略を考えたりもするわけです。
「自分の立場を離れ、他者の立場に立って考える」ことは、先を読むための私の習慣の一つになっています。