長年、憲法改正を党是としてきた自民党が下野したからといって、その旗を降ろすというのはまったく理屈に合いません。

他方、小沢氏率いる新生党は集団的自衛権の行使容認を政策として掲げ、憲法改正にも積極的だということで、私は「本来の保守は新生党になったんだ」と思い、入党することにしたのです。

ところが実際には、そうした政策論議が党内で行われることはほとんどなく、来る日も来る日も権力闘争が繰り返されているという有様でした。憲法改正や安全保障問題など私が重要だと思うようなことを、党内で議論しても、それが党としての政策に反映されることはなかったのです。

本格的な政策論議をするため、というお題目で小選挙区導入を推進したはずなのに、目にしたのはそんな理想とはほど遠い現実でした。

変質していった新党

新生党はいくつかの新党と合従連衡したのちに新進党となりました。大きな党となり、自民党と対峙たいじして二大政党制を確立する、その政治改革の夢が実現したかのように見えました。

しかし総選挙直前になってその新進党が打ち出したのは、「集団的自衛権は行使しない」「消費税はこれ以上上げない」等といった、それまでとはまったく異なる政策でした。

こうして、私が自民党を離党してまで取り組もうとした政策は、ここでもまた否定されました。

結局、次の総選挙では再度無所属として立候補し、当選を果たしたのち、私は自民党に復党します。

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この一連の行動を批判的に見る方がいることは承知していますが、私自身の主張は初当選の時からさほど変わっていません。憲法改正、集団的自衛権の全面的行使を可能とすること、地方分権を推進すること。そして2世やタレントでなくても国会議員を目指せるような環境を実現すること。

その後、自民党は再び憲法改正を目指す姿勢を明確にしました。そして、その他の政策でももっとも私の主張と合致するのが自民党なのです。

また、イデオロギー政党ではなく実に日本的な存在である点も自民党の魅力の一つです。原理原則に縛られない、良く言えば融通無碍ゆうずうむげな政党です。

イデオロギーを至上のものとしている人の目にはともすればいい加減に映るかもしれませんが、この自民党の現実的なところが多くの日本人の感性に合っているのではないか、と私は思っています。

そんなわけで「新党を作れ」や「党を出て行け」といったご意見に従うことはできないのです。

今の自民党に足りないもの

私が復党した後、2009年になって、再び自民党は下野しました。麻生政権の時で、私自身も内閣の一員(農水大臣)でしたからその責任は感じています。

当時、民主党による新政権に業務を引き継ぐため、選挙の後に農林水産政策の細かい方向性などについて文書を作成していた時のことです。自民党内のかなりの重鎮の方々から、総裁選に出馬しないかというお話がありました。