変えなければならない「ある習慣」

また、その介護をめぐり国や自治体だけでなく、個人的にも大きな経済的負担が必要になります。これも以前にも増して認知症予防に強い関心が寄せられている要因です。

近年では、将来なりたくない病気としてがんや肺炎を押しのけて、認知症が1位になっているほどです。

実際のところ、特に今の50代以上の方にとって、認知症はとても身近な病気になってきています。あなたのまわりにも、認知症を発症した近親者を抱えた知人がいるのではないでしょうか。

あるいは、あなた自身が現在、認知症の祖父母やご両親の介護で、ご苦労をなさっているかもしれませんね。

そういった方ほど、「できるだけ認知症を遠ざけたい」「脳を老化から守りたい」と強く思われていることでしょう。

ところで、私が先ほど言及した、35歳を過ぎたら脳のために変えなければいけない「ある習慣」とはなんでしょうか?

それが「歯のケア」です。そして、認知症の原因物質の発生源となるのが、口の病気である歯周病なのです。

実は近年、認知症専門医として少し変わった治療をする私に、各方面から関心が寄せられています。

私は、通常の認知症診療に加えて、「歯のケア」を行う認知症専門医なのです。

写真=iStock.com/kazuma seki
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まるでゴミ屋敷のような、認知症患者の口の中

「え……、歯ですか?」
「どうして認知症の病院で、歯のチェックを!?」

私の認知症専門クリニックを訪れる患者さんのご家族が、たいてい初めに言うのがこの言葉です。

それも無理はありません。患者さんは血圧測定や血液検査などを受けたあと、「では最後に、歯を見せてください」と認知症専門医である私に言われます。

そして、どういうわけか認知症外来に設置されている歯科専用の診療のイス(歯科用チェアユニット)に座らされて、歯の本数や口腔環境をチェックされるのです。

その後、希望する患者さんには、当クリニックの歯科衛生士さんによる徹底した歯のケアを受けてもらいます。

認知症患者さんの多くは身だしなみを整えるという感覚を忘れているため、自分で歯みがきもしなければ、入れ歯のケアもしません。

そのため、認知症患者さんの口の中というのは、ちょっとビックリするくらい汚れているのです。

朝食べたものがそのまま口の中に残っていたり、黄色くネバつく歯垢がいたるところにこびりついているなんて当たり前。口臭だってすさまじいものです。

ケアをしてくれている歯科衛生士さんによると「認知症患者さんの口の中は、まるでゴミ屋敷」なんだとか。たとえ医師でなくとも、一見しただけで「これは体に悪そうだ」とわかります。