医者と歯医者が連携して病気を予防する時代に
認知症患者さんに定期的な歯のケアを受けていただくことは、認知症の予防・改善につながります。
ますます高齢化が進み、認知症患者が増えるとされているこれからの時代において、何よりも求められるのは歯のケアであり、医療分野で言えば「歯科」だと言えるでしょう。
本書で詳しく説明しますが、歯科で歯垢を除去するためのプラークコントロールを定期的に受けて、歯周病を予防・改善することは、脳の老化防止につながります。
さらに、誤嚥性肺炎、糖尿病、動脈硬化、脳梗塞や心筋梗塞などの全身疾患リスクを下げて「健康寿命」を延ばすことにもつながります。
なぜなら、前述した通り35歳前後から増え始める歯周病菌が、認知症や全身疾患を引き起こす原因になるからです。正しい歯のケアこそ、長寿社会を健康に生き抜くために、すべての人が身に付けるべき基礎知識なのです。
そうした観点から、私はすべての医療機関に、歯医者さんや歯科衛生士さんが常駐していてもいいのではないかと思っています。
特に体力が落ちて免疫力が低下している高齢者が通う医療機関や介護施設では、その必要があるはずです。
これからは、「医科」と「歯科」が連携して診療にあたる「医科歯科連携」が、人々の健康を守るために、何より重要だと考えています。