学校では禁止なのに、外ではブランド化する矛盾

実は、髪型ではないがアメリカでも似たような論争が時々起きている。一部の数少ない高校では、服装ルールで女子のタンクトップを禁止している。肩を見せるのは挑発的だというのが理由で、性的という意味では日本のポニーテール禁止に似ている。男性が興奮するのは男性自身に原因があるのではなく、刺激した女性のほうが悪いという考え方が根底にあり、女性に対する差別につながると批判されている。

しかし、シャンシャンがポニーテール禁止に憤慨する理由はもう1つある。

「日本では校則ではダメでも、エンタメの世界ではポニーテールは人気がある。例えばAKB48の『ポニーテールとシュシュ』では、ポニーテールで踊るダンスがかなりセクシーに見える。未成年のメンバーもいるのになぜエンタメの世界では許されて、高校生はダメなの? それって矛盾していない?」

つまり、エンタメや漫画も含め、商業的には女子高生に性的なニュアンスを加えてブランド化しているのに、校則では許さないのがダブルスタンダードだと言っているのだ。

これにはまいった。私たちがポニーテール禁止にモヤモヤしたものを感じるのは、同じ女子高生でも、校門の中では男性を刺激してはいけないと規制されるのに、校門を一歩出れば逆に男性を刺激するためにブランド化されるという、いびつな二重構造のせいだったということに、改めて気付かされる発言だった。

最後になるが、今日本で議論になっている、夫婦の呼び方についても聞いてみよう。

日本人夫に「絶対に奥さんと呼ばないで」

メアリーは、ラボメンバーで日本人のヒカルと結婚したばかりだが、ある日彼にこう言ったという。

「私を絶対に奥さんと呼ばないで。妻と呼んで」

写真=iStock.com/millann
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メアリーは中学校時代から日本語クラスをとっているが、授業でこう教わったという。「奥という言葉を使うのは、妻というのは台所、つまり家の奥のほうにいると考えられていたから。そして旦那や主人が所有している家の中に、子供たちといるから」

同じように大学で日本語を受講しているシャンシャンはこう言う。「奥さん、旦那さんという言い方は、誰かに所有されているという感じがすごくする。なぜそう感じるかというと、芸者についてリサーチした時、芸者は主人に所有されていて、主人のことを“旦那さま”と呼んでいたと学んだから」