「天皇・宮内庁対秋篠宮」という構図が出来上がっていった

評論家の保阪正康氏は『秋篠宮家と小室家』(文春新書)の中で、秋篠宮発言についてこういっている。

「秋篠宮は、より本質的に、政教分離のけじめを国民に訴えかけたのである。こういう本質的な問いかけが皇室の側からあったことを国民は重く受け止めるべきだろう。政府と対立することを恐れずに発言したことについて、私は秋篠宮を高く評価したい」

秋篠宮は批判の矛先を宮内庁にも向け、

大嘗祭の費用について、「宮内庁長官などにはかなり私も言っているんですね。ただ、残念ながら(中略)話を聞く耳を持たなかった。そのことは私は非常に残念なことだったなと思っています」。この発言に、宮内庁側が反発したであろうことは想像できる。

また、長女・眞子さんの結婚に際して「納采の儀」を行わなかったことで、「皇室の慣例というのは、その程度のものなのだという印象を国民に与えてしまった」(『秋篠宮』)ため、天皇に不快感を与えてしまったのかもしれない。

そうした流れの中で、天皇・宮内庁対秋篠宮という構図が出来上がっていったのではないだろうか。

私も秋篠宮の一連の発言を評価している一人である。

「天皇も人間」発言、男女を分け隔てることもない

また、当時の天皇(現上皇)が退位を決め、ビデオメッセージを公表したとき、秋篠宮はどう感じたのかという江森氏の問いに対して、

「個人的には、以前の記者会見で私は、天皇の定年制について話したことがありましたが、ある一定の年齢を超えた時期に、余生を大事にすることは、それが天皇であっても同じ人間として人間的に生きる権利という観点からも大切なことではないかと思いました」

と答えているが、至極真っ当な人間的な物言いで、好感が持てる。

憲法についても、「皇族は天皇に準じる立場なので、この条文(憲法99条の憲法尊重擁護=筆者注)通り、憲法を尊重し擁護しなければなりません」(『秋篠宮』)とはっきりいっている。

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秋篠宮は、皇嗣となってから、侍従、女官を廃止し、男女とも「皇嗣職宮務官」とする改革を断行したように、男女を分け隔てすることもない。

2006年に悠仁さんが生まれた後の誕生日会見で、「基本的には長女、次女と同じように接するつもりでおります」と語り、皇族の役割について、「社会の要請を受けてそれが良いものであればその務めを果たしていく。(中略)私は女性皇族、男性皇族という違いは全くないと思っております」と語っている。