「とても乗りやすい車両であることを実感」した4車

bZ4X、ソルテラ、アリア、IONIQ 5の4車では、奇をてらうことのない、とても乗りやすい車両であることを実感した。

BEVであることを強調し、それを一番のセールスポイントにするのではなく、各社が目指した次世代の車造りを技術で攻めて、使い勝手で愚直に表現。とりわけbZ4Xでは、トヨタを代表する世界的な大衆車「カローラ」を、BEVとして改めて世に問うたのだと筆者には感じられた。

トヨタのbZ4XとSUBARUのソルテラは兄弟車だ。外観の相違にはじまり、走行性能では前後サスペンションのダンパー減衰力が異なる。bZ4Xと比較してソルテラは高めの減衰力に変更して、車体がより即座に反応する設定とした。

一方、電動モーター駆動の性能では両車に違いはない。ドライブモードをノーマルにしておけば、ある程度ラフなアクセルペダル操作であっても制御で吸収し、ドライバーの意図を理解したかのように滑らかに加速する。多くのユーザーが使いやすい、運転しやすいと実感するはずだ。なお、試乗は両車とも前後ツインモーターの4輪駆動モデルを選んだ。アクセルペダルを戻した際に回生ブレーキを生み出す、いわゆるワンペダル操作も両車は備える。bZ4Xは「Regeneration Boost」、ソルテラは「S PEDAL DRIVE」と個別のネーミングを採用するが機能は同じだ。

筆者撮影
SUBARU「ソルテラ」を20kWの急速(中速)充電器でチャージ。時間あたりの充電量は直前の運転操作に左右されるが、15分間でSOC換算にして5%分の充電ができた

アリアの「e-Pedal Step」に組み込まれた新たなロジック

日産のワンペダル操作である「e-Pedal」(アクセルペダルの踏力を緩めると減速度が発生)と考え方は同じだが、bZ4Xやソルテラではちょっと独特な仕組みを用いた。たとえば加速中にスイッチをオンにすると、その瞬間から同じ加速力を保つためには、より深くアクセルペダルを踏み込む必要がある。走行中、エコモードに切り替えたような感覚だ。

「ペダルを戻した際の回生ブレーキ力をコントロールしやすくするため制御に組み込みました」とは、トヨタのbZ4X開発担当者の弁。

一方、アリアの「e-Pedal Step」(e-Pedalとは異なり停車時にブレーキを踏む必要あり)には新たな制御ロジックが組み込まれた。たとえばリーフのe-Pedalや、日産のシリーズハイブリッド方式「e-POWER」の「e-POWER Drive」ではスイッチをオンにしてアクセルペダルの踏力を緩めると、すぐに緩め具合に応じた回生ブレーキが働き減速度が生み出せた。

対してアリアのe-Pedal Stepでは、アクセルペダルの踏力を一気に緩めると、少し間をとってから減速度が立ち上がる。これは意図的な設計で、じんわり踏力を弱めていくと、それに同調するかのように回生ブレーキによる減速が始まる。

「e-Pedal Stepでは急激なペダル操作に対して車体の前後ピッチングを抑制するために、少し間をとる制御を組み込みました」(アリアの開発担当者)。たしかに従来のe-Pedalやe-POWER Driveとは異なる部分だが、滑らかなペダル操作をちょっと心掛けるたけでスッと馴染めた。