実際、大手マスコミを辞めた方たちはみな口を揃えて、記者クラブを舌鋒鋭く批判をするが、「会社員」だった時にそれが言えた人はほんの一握りしかいない。批判しているわけではなく、みな家族がいて、老後があって、住宅ローンがあるのだからしょうがないのだ。
高い志を抱いた若者たちの心が壊れていく元凶
問題の本質は、そのように「しがらみだらけの組織人」を、政府や官僚の「下請け」にならざるを得ない「記者クラブ」に押し込めてさらに疲弊させているということだ。
権力の不正を追及するなんて高い志を抱いた若者たちが、「ムラ社会」の中で、どうすれば官僚の寵愛を受けてネタをリークして頂けるのか、というキャバクラの「太客」をめぐる争いのようなことを連日させられるのだ。心が壊れてしまう人がいるのも納得ではないか。
このガラパゴスな「情報談合組織」が維持され続ける限り、その中で働く若い記者たちの負担はさらに重くなっていく。今回の「遺族トラブル」のようなモラルハザートもさらに拍車がかかっていくだろう。
近年、日本のものづくり企業で「データ改ざん」が続いているが、そのうちマスコミの「報道改ざん」も問題になっていくかもしれない。