記者クラブの「情報独占時代」は終わりを迎えている

ご存知の方も多いと思うが、記者クラブというのは、官邸や中央官庁から、自治体、さらには全国の警察内部にまで設置されているもので、そこでは会見などが催されたり、広報資料が配布されるなど、記者が取材をするためさまざまな便宜を図ってもらえる場所だ。

だが、このクラブに入れるのは、テレビや新聞などいういわゆる「マスコミ記者」だけ。週刊誌やネットメディアの記者、フリージャーナリストは立ち入り禁止だ。つまり、記者クラブというのは、一部のマスコミが政府や自治体、警察の情報を一手に独占する「情報のボトルネック」的な機能を果たしているのだ。

テレビカメラ
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ただ、SNSの普及でそれは過去の話になりつつある。政治家も役所も今やSNSやオウンドメディアで自由に情報を発信している。警察は未だに閉鎖的なのでクラブ記者とベッタリだが、事件の関係者や目撃者は自分のスマホで情報発信や不正の告発をしている。実際、大事件が起きると、マスコミ記者が関係者のSNSアカウントに、「突然のダイレクトメール失礼いたします、TBS報道部です」なんてアプローチすることも多い。

ブラック化が進む「閉鎖的なムラ社会」で起きること

つまり、記者クラブに在籍して、役人や警察と仲良くやってさえいれば、情報が自然に集まってくるという時代が終焉を迎えているのだ。こうなると、クラブ記者たちの労働環境は急速に悪化していく。

これまで通り記者クラブを舞台とした取材をしながら、関係者のSNSをチェックしたりして「クラブ外」の情報収集までしなくてはいけない。SNS普及以前の記者よりもやるべき仕事が倍増しているのだ。これがブラック企業も真っ青の過重労働だというのは、2013年にはNHKの31歳の女性記者が過労死をした事実が物語っている。

そして、記者クラブのように「閉鎖的なムラ社会」の中でブラック化が進むと、モラルハザードが起きやすいことがわかっている。その最たる例が、大企業で相次いだデータ改ざんだ。