決め打ちはしない、選択肢を提示して一緒に選ぶ
——選択肢というのは住宅の形?
そうですね。例えば、賃貸併用住宅という切り口では、何階にお客様が住むべきかとか、何階建てを建築するかとか。当然、層を積めば積むほどコストって上がっていくので、コストが上がったときに収入がどうなって、それに見合うか、見合わないかといったところも含めて選択肢をいくつか提示する。その中で、「じゃあ、これがいい」という共感を得ること、お客様と思いを共にしていくことが非常に大事かなと思っています。
こうした場合はこれがいいという弊社としての答えがあるケースもあるのですが、お客様は「それは弊社の視点でしょ」とどうしても先入観としてもそうした思いを持ってらっしゃる方もいるので、決め打ちはしないようにしています。より広角的に見て、考えられるバリエーションを共有していく。それを一緒に選んでいくというプロセスが、お客様からすごく良かったと言ってもらえることが多かったんです。
「バスツアー感覚」の物件めぐりで人間関係を構築する
——酒井さんのお客さんに多い共通の属性などはありますか。
やはり多いのは、ご相続の対策として計画をするというお客様です。ご年齢では、70代、80代の方がご子息様と一緒に、というケースが多いですね。
ご高齢のお客様だと、ご自身の足で物件を見に行くとか、打ち合わせの場所に出向くのはちょっと大変だなと思われることがあります。弊社では社用車ではなく自家用車を使って営業しているということもあり、私は人数が多く乗れるミニバンに換えて、朝から夕方までバスツアーのような感覚で出かけています(※)。ダイワハウスの施工実例をご案内したり、途中で一緒にお食事したり。エンターテインメント、レジャーの一環みたいな要素を盛り込むことで、人間関係を構築していけたらと思うのです。
※大和ハウス工業では、一定条件を満たした社員が自家用車を業務に使用することができる。
お客様の人となりを知るのにいろいろお話を伺う絶好の機会として、車の移動時間を私は大切にしています。逆に、自分という人間を知っていただく意味でも有意義な時間になることが多くあります。あとから聞くと車のツアーが良かったねと言っていただくことも多いので、これはコロナが終息しても継続させていただこうと思っています。