仕事でも家庭でも負担を抱える中高年

そもそも今の中高年は、高齢化社会と少子化社会のどちらも支えなければならない、社会的なひずみを受ける年代です。たとえば、少子化で会社に入る若者が少ないため、慢性的な人手不足が起きる。すると、中高年はマネジメントをしながら、第一線でも働かなければならず、プレイングマネージャーとしてやっていくしかありません。仕事の負担がものすごく増えます。

プライベートでも、子どもが思春期になったりして親子関係が変化してストレスが増えることがありますし、親の介護の問題も出てきます。さらに、自分自身ががんなどの病気になる可能性も高くなります。

そんなふうに仕事でもプライベートでも責任を負う中高年は、この時期になると、さらに周囲の環境の変化から大きな負担がのしかかります。仕事面では自分が異動したり、部下が変わったりしますし、プライベートでは子どもの進級や進学などもあるでしょう。もともとストレスが多い状況に加えて、環境の変化でさらに負担が増えて、五月病になってしまうのです。

つまり、若者の五月病の原因が仕事の環境変化なのに対し、もともと負担が多いところに仕事やプライベートの環境変化といった原因が複合的に絡み合うのが中高年なのです。

ストレスの源を取り除く

先述したとおり、原因をとり除くことが五月病の治療になります。若い人の場合は、原因はほとんど仕事に関することなので、比較的コントロールしやすいといえます。しかし、中高年の場合は、簡単ではありません。

仕事や職場環境が原因であれば、主治医や産業医、人事の協力を得ながら、原因となっている仕事内容や人間関係から本人が離れられるよう、環境を整えます。いちばんの治療は、原因となっているものから物理的に離れることなので、いったん休職するのも一つの方法です。

ただ、中高年、特に管理職の人の職場環境を変えるのは、若手を異動させるほど簡単なことではありません。

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