筆者撮影
地元でも人気の宮古島メロンの専用棚。全国からも注文が相次いでいるが日照不足などの影響で出荷が遅れている=4月15日、宮古島市内「島の駅みやこ」

銀座千疋屋「こんな美味しいメロンに出会えるとは」

リウボウは、出店する菓子店と地元農家を直接つなぎ、オリジナルの商品開発に力を入れている。製造設備が不足する新規出店の菓子メーカーには、既存店舗とのOEM(製造委託)連携を橋渡しし、県産食材を使った生菓子のラインナップを増やすことを提案。県外の大手百貨店への催事出店や、インターネット販売なども後押しし、県産食材そのものの取り引きを拡大させる試みを増やしている。

最初の成功事例となったのが、<過労で倒れたケーキ職人が「お菓子YouTuber」として“伊勢丹デビュー”を果たすまで>でも紹介した「GOLDWELLキセキノスイーツ」のチーズケーキにのせた宮古島メロンだった。栽培技術と味の良さで評価の高い生産者・盛島健有さんがつくる青果にこだわる。リウボウ1階に工場兼店舗を構える同店が、過去1年間に仕入れた盛島さんのメロンは原材料・ギフト用合わせて約1000玉(1.2~1.5t)に上った。

さらに、リウボウとの接点から得た情報がきっかけとなり、昨年、銀座千疋屋(東京都)が初めて「宮古島メロンフェア」を開催。2回目となる今年3月には、前回より仕入れ量を増やしてパフェ(3080円)などを販売し好評を得た。同社の石部一保・統括仕入長は「夕張など有名産地に負けない美味しさに驚いた。こんなメロンに出会えるとは思ってもいなかった」と喜ぶ。

「少し前までは作ってもあまり売れなくて、安くして買ってもらうしかなかった。けれど近頃は、そんな心配をしなくてもよくなりました」と盛島さんはいう。

百貨店や専門店での取り扱いが、質の高さと美味しさを一気に広めるメディア効果を発揮。島内14あるメロン農家の売上高は2020年度の3000万円から21年度は5000万円に増加、生産者の収入アップにもつながった。

地元商材のみを取り扱った売り場をオープン

県産フルーツに限らず、地元商材にこだわったリウボウの売り場づくりは、他の地方百貨店には真似のできない規模で、先行している。

関係者提供
那覇市久茂地の一等地にあるデパートリウボウ

「究極のローカライゼーション」を掲げて2018年に立ち上げた自社ブランド「樂園百貨店」と、2021年9月にオープンした「OKINAWA the RYUKYU」は、メーカーの消化仕入れや不動産収入に依存度を高めてきた従来型の百貨店ビジネスの真逆をいく、自主編集型ショップとして業界の注目を集めている。