国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチが3日に発表した報告書には、チェルニーヒウやハルキウ(ハリコフ)、キーウでロシア兵が行ったレイプや処刑、民間人への脅迫など、明らかな戦争犯罪が数多く記されている。

例えばロシア軍に占領されていたハルキウ州の村マラヤ・ロハンでは、31歳の女性が避難先の学校の校舎で、ロシア兵から繰り返しレイプされたと証言している。その校舎の地下室には約40人の民間人が避難していたと言う。

被害者による生々しい証言

「男は私に(オーラルセックスを)しろと言った」と、この女性は語っている。「男は私のこめかみに銃口を向け、あるいは顔に押し当てた。そして天井に向けて2度発砲し、もっと『やる気』を出せと私に迫った」(この女性の名は伏せられている)

ブチャでもある女性が、ロシア兵によって近隣住民と一緒に広場へ連行されたときの様子を証言している。携帯電話や身分証明書を調べられ、ウクライナの「領土防衛隊」に入っているかと問われた。やがて5人の若い男が引きずり出され、着ていたTシャツを頭にかぶせられた。そして1人が射殺された。

「心配するな」とロシア兵の隊長は言った。「おまえらはみんな正常だが、こいつは泥だ。われわれがここへ来たのは、おまえらから泥を落とすためだ」

ロシア軍の支配地域には入れないから、今は人権団体の調査員も目撃者の証言や証拠写真から残虐行為の記録をまとめるしかない。それでも、現時点で得られた情報は今回の惨劇のごく一部でしかないとみている。ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査員で、今回の報告書作成にも関与したユリア・ゴルブノワが言う。「事態の全容が明らかになるには何日も、何週間も、何カ月もかかるに違いない」

ウクライナのイリーナ・ベネディクトワ検事総長は4月3日のフェイスブックへの投稿で、ウクライナ当局はロシア軍が占領していたキーウ周辺だけで410人の遺体を収容し、既に140人の検死を終えたと述べている。

人口約3万6000人のブチャでこれほどの殺戮と破壊が行われていたのであれば、もう何週間もロシア軍に包囲されているマリウポリ(侵攻前の人口は50万弱)の惨状は想像を絶するものだろう。「いずれウクライナ軍がマリウポリを奪還したとき、どんな状況を目にするかと思うと恐ろしい」とゴルブノワは言う。

ウクライナ政府は、ロシア軍がマリウポリの住民4万人を親ロシア派の支配する東部2州やロシアに強制連行したと非難している。