仕事に関連する読書では、息抜きにならない

ただし中高年になると、しだいに体力的な疲れが残りやすくなります。集中力も続かないし、いろいろ面倒くさくなる。

ラッセルもこう述べています。

〈人間、疲れれば疲れるほど、外部への興味が薄れていく。そして、外部への興味が薄れるにつれて、そうした興味から得られる息抜きがなくなり、ますます疲れることになる。この悪循環は、結果的にとかく神経衰弱を引き起こしやすい〉

身に覚えのある方は多いのではないでしょうか。

ではどうするか。より強い刺激を求める興味をつなぐのも、一つの方法かもしれません。しかしそれでは、余計に疲れる恐れがあります。例えば自分の仕事に関連する読書は、興味はあると思いますが、日々の仕事がチラついて息抜きになりません。あるいはギャンブルも、その瞬間だけ世事をいっさい忘れられるでしょうが、現実的な利害が絡むので心が落ち着きません。

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YouTubeが心を休ませるにはちょうどいい

ラッセルが推奨しているのは、〈私心のない興味〉で時間を過ごすこと。仕事とは無関係で、選択や判断を迫られないものが当てはまります。一例として挙げているのが、〈スポーツの試合を観たり、劇場へ行ったり、ゴルフをしたりすること〉。あるいは読書も、仕事と関係なければまったく申し分ないとしています。要するに、役立つとか学べるなどと考えず、ただ楽しめればいいということでしょう。

その観点で考えるなら、私が特におすすめしたいのはYouTubeです。先日も、私は往年の時代劇「必殺シリーズ」に関連する動画を見つけ、つい見入ってしまいました。私の世代にとっては懐かしい映像ばかりです。ふだんはすっかり忘れていても、一つの映像をきっかけにして思い出すことは多々あります。ムダといえばまったくムダな時間の使い方かもしれませんが、心を休ませるにはちょうどいい気がします。

ちなみに私は、このシリーズのサントラのCDを何枚も持っています。わかる方にはわかると思いますが、いざこれから「仕事」を始めようとするときに流すと、ちょうどいい感じに気分を盛り上げてくれるのです。

あるいは往年の刑事ドラマ「キイハンター」や「Gメン'75」や「太陽にほえろ」。おそらく昔のドラマ名で検索すれば、何らかの動画が多数ヒットすると思います。またキャンディーズやピンク・レディーといった往年のアイドルの映像も当然あります。どんどん検索すれば、“お宝”的な映像を掘り出せるかもしれません。こういうものを見て昭和の情緒を懐かしめるのは、長く生きてきた中高年層の特権でしょう。