「地雷型ローン」は危険なローンから安心できるローンへの借り換えで地雷を撤去したい。10年固定への借り換えでは返済額が多くなるケースもあるが、向こう10年間、一定の安心は確保できる。
また地雷型ローンでは、現在の借入先への「金利交渉」という裏ワザもある。3年固定は大幅な金利割引を受けていた3年を経過すると、金利の割引幅が縮小する。それを10年固定に切り替えると適用金利が上がり、返済額が大きく増える。そこで借入先の銀行に対して大幅な金利割引を交渉するのだ。割引幅が拡大されれば、適用金利は小幅の上昇にとどまる。小規模な地方銀行や信用金庫では難しいが、それ以外では交渉の余地がある。成功すれば諸費用も少額で済む。
金融機関や取引状況などによって割引幅はケース・バイ・ケースなので、借り換えとどちらがトクかを比較して有利なほうを選ぶといい。借り換えの検討と同時に進め、他行の提案書を見せるのが、金利交渉を有利に進めるコツである。
「老後圧迫型ローン」については借入先に相談し、毎月の返済額を増やして返済期間を短くする条件変更を行う(要審査)などの方法があるが、繰り上げ返済で返済期間を短縮させるのもいい。
変動型や固定金利選択型の場合、将来の金利が確定していないため、60歳時点の残高はわからない。基準金利を過去の平均的な住宅ローン金利である4%、慎重に見るなら4.5%と仮定し、ここから割引幅を引いた水準で借入先に試算してもらうといい。60歳時の残高を知ることで、どの程度繰り上げ返済する必要があるかが見えてくる。
中小企業金融円滑化法により、各金融機関では住宅ローンの返済困難者に対する相談体制を強化している。すでに返済が苦しい人は借入先へ相談に行こう。
そこで講じられる返済条件の見直し方法は、(1)一定期間、返済額を減額、(2)返済期間を延長して返済額を減額(保証料が必要)の2つがある。いずれも総返済額が多くなる点には注意が必要で、家計費を削減するなどの工夫をし、最小限の見直しに抑えることも大切だ。
ボーナスカットによる収入減に加えて子どもの進学で教育費負担が重くなるといった場合には、(1)の見直しで教育費負担がなくなるまで返済額を減額する。毎月の返済額が10万円で2年間7万円に減額すると、減額期間終了後は12万円になるなどのケースが考えられる。(2)の場合は最大で利息相当額までの減額が可能。残高が2000万~3000万円あると、保証料が十数万円かかる。
もっとも避けたいのは延滞だ。金融機関によっては、一度の延滞でも金利割引がストップしたり、金利交渉や借り換えもできなくなる。入金し忘れなどによる、うっかり延滞にも注意したい。
※すべて雑誌掲載当時