ちょうどその頃、ヴィンテージブームはヨーロッパやアジア諸国にも波及し始めていたこともあり、当時のバイヤーの中には、アメリカ以外の国へ行って買い付けをする人も出てきました。昔から紛争の激しい中東諸国には、アメリカなどから救援物資が届き、その中にヴィンテージアイテムが眠っていると言われていたこともあり、パキスタンやアフガニスタンなどを回って買い付けを行っていた猛者もいました。

世界屈指の危険地帯で襲撃に遭い、崖の上から車を落とされた、地元のギャング集団に拳銃を突き付けられたなど、過激な体験談も耳にしますので、保険加入と防犯対策は必須です。

米国のバイヤーが買い付けに来る“逆輸出現象”

このように、世界中でヴィンテージデニムが枯渇する中、質と量の両方において、日本は群を抜いて充実しています。海外の“デニムLOVER”から言わせると、日本ではお宝級のヴィンテージデニムがサイズや色落ちごとに整頓して陳列されており、しかも長時間の移動をしなくても古着ショップがエリアごとに密集していて、買い付けには最適なのだそうです。

私がディレクターを務めるベルベルジンにも、ラルフ ローレンのデザインチーム、ディオール メン ディレクターのキム・ジョーンズ、イェ(カニエ・ウェスト)やデイヴィッド・ベッカムなど目の肥えた玄人たちがこぞって買いに来ています。ここ数年は、アメリカのバイヤーが、日本へヴィンテージデニムを買い付けに来るという“逆輸出現象”が起きていますが、この流れはしばらく続くと思います。

画像提供=KADOKAWA

ゴールドラッシュの金鉱労働者の作業着として生まれたデニムが、長い年月を経た21世紀の日本で別の価値を生む。“21世紀のゴールドラッシュ”は、間違いなくここ日本で起きているのです。

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