オモテもウラも人並み以上の多忙ぶり。しかも収入はサラリーマンとしての報酬だけ。あとで触れるが、潮田は大学を出てからいったんソニーに就職し、2年ほど国内営業を経験している。そのときの同期と比べれば、「年収は半分かなあ(笑)」。それでも満足だと潮田はいう。

理由は何か。

「うーん。会社も音楽も、おもしろくてたまらないから続けている。それだけですね」

とんねるずの「舎弟」

公表されているデータでは、ソニーの平均年収980万円に対して、らでぃっしゅぼーやは501万円。従業員の平均年齢など前提条件は異なるものの、たしかに2倍ほどの開きがある。しかもソニーはホンダと並び、日本企業には珍しく自由闊達な社風を誇っている。

ボーカルのヤスヨさん(左)の美声にあわせギターをかき鳴らす。フィンガーピッキング・コンテスト全国決勝大会8回出場の技巧派だ。

それなのになぜ、らでぃっしゅぼーやの仕事はソニー以上に「おもしろくてたまらない」のか。潮田の生き方から検証してみよう。

潮田は、日立製作所の企業城下町として知られる茨城県勝田市(現ひたちなか市)の生まれ。父(故人)は日立のエンジニアだった。

地元の進学校を経て、1984年に早稲田大学法学部へ入学する。しかし「授業がつまらなくて学内に居場所がなかった」という潮田は、2年生のときに意外な環境へ飛び込んだ。深夜番組「オールナイトフジ」の募集に応じ、当時売り出し中だったお笑いコンビ、とんねるずの「舎弟」になったのだ。

時はバブル。オールナイトフジや夕方のバラエティー番組にとんねるずとともに出演し、文字どおり体当たりの芸で人気を博した。リーダー格の潮田は、「ボッキー潮田」という芸名まで授かった。