どこに「x」が隠れているのか

この見極めに必要なのが、「変数」という考えです。数学が得意だった人は、「y=ax+b」という一次方程式を思い浮かべてもらうと、「x」が変数であり、それにより「y」の値が変わるということがイメージできるでしょう。

「a」と「b」は定数であり、与えられた数字なので、ここは変えられません。

数学が苦手でも、この本質は理解しておかないといけないので、さらに例を挙げましょう。

たとえば、大事なプレゼンに臨むとします。資料作成の時間を1時間から2時間に増やし、レイアウトやデザインにこだわり抜いたとします。

しかし、プレゼンの結果があまり変わらなかったらどうでしょう。ここで2時間の努力を3時間や4時間に増やし、さらに資料作成に時間をかけるのは、間違った努力の仕方です。

それは、「プレゼン資料の『完成度』が『変数』ではない」からです。

写真=iStock.com/courtneyk
※写真はイメージです

今度は、プレゼンの様子を動画で撮影し、自分で見返してみるとします。すると、資料をめくったときにすぐに要点を伝えることなく、ダラダラと前置きの話をしていることに気づきました。そこで、「次の資料に移ったら、最初の10秒で結論を述べる」という方法を試したとします。

すると、プレゼンを聞いている人の反応が変わり、プレゼンの成功する「回数」が以前より増えました。数値化された成果が出たのです。

こうして、「プレゼンでの『伝え方』が『変数』だった」ことに気づくことができます。

「変数」こそが仕事の成果につながる

このように、結果を出すためには、「変数が何か」「どこに変数が隠れているのか」ということを、試行錯誤して見つけ出さないといけません。ここが仕事の成果に直結します。まずはプレーヤーとして、自分の仕事の変数を見つけられること。次に、マネジャーや経営者として、マイナスにつながる変数を減らすこと。いくら努力しても変えられない部分、つまり「定数」は、さっさと諦めることです。「変数」の重要性について、それぞれの方法を本記事で見ていきましょう。